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February 20, 2003 Vol. 348 No. 8

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インフォームド・コンセント書式のわかりやすさの基準と実際のわかりやすさとの比較
Readability Standards for Informed-Consent Forms as Compared with Actual Readability

M.K. Paasche-Orlow, H.A. Taylor, and F.L. Brancati

背景

倫理委員会(IRB)は,識字能力の低い被験候補者の保護を担っているが,不用意に読解困難な書式を普及させている可能性がある.われわれは,IRB が提供したインフォームド・コンセント書式中の文章が,IRB みずからのわかりやすさの基準を満たしていないという仮説と,わかりやすさが研究活動のレベル,地域の識字率,および連邦の監視に影響を受けるという仮説を立てた.

方 法

これらの仮説を検証するため,複数の公にされた情報源のデータを関連付けて横断的研究を行った.IRB のわかりやすさの基準とインフォームド・コンセントのテンプレートに関して,米国の医学校の合計 114 のウェブサイトを調査した.実際のわかりやすさは,英語の文章を読んで理解するために必要な最低限の学年レベルに基づいてスコアを割り当てる,Flesch-Kincaid 尺度で測定した(範囲 0~12).研究活動のレベル,地域の識字率,および連邦の監視に関するデータは,各種機関のウェブサイトから得た.

結 果

IRB が提供した文章のわかりやすさの平均スコアは,Flesch-Kincaid 尺度では 10.6 であった(95%信頼区間 10.3~10.8).61 サイト(54%)に掲載されていた書式のわかりやすさの基準は,5 年生の読解力から 10 年生の読解力までの範囲であった.IRB が提供したサンプル文章の平均 Flesch-Kincaid スコアは,公式の基準を 2.8 学年分上回っていた(95%信頼区間 2.4~3.2;P<0.001).わかりやすさは研究資金のレベル(P=0.89)や地域の識字率(P=0.92)とは関連していなかった.しかし,人間研究保護局(Office for Human Research Protections)の監視を受けることになっていた 52 校は,他の医学校に比べて Flesch-Kincaid スコアが低かった(10.2 対 10.9,P=0.005).

結 論

一般的に,IRB はみずからのわかりやすさの基準を満たさないインフォームド・コンセント書式を提供している.連邦の監視は,よりわかりやすいことと関連している.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2003; 348 : 721 - 6. )