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February 27, 2003 Vol. 348 No. 9

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米国における成人ドナーからの生体肝移植の調査
A Survey of Liver Transplantation from Living Adult Donors in the United States

R.S. Brown, Jr., and Others

背景

成人生体ドナーの肝臓の右葉が成人レシピエントへ移植される頻度は,米国でますます高くなっている.生体ドナー由来の移植片の使用は,小児の移植では標準的な方法であるが,成人での使用には依然として議論の余地がある.

方 法

生体ドナーからの肝移植の利用を調査するため,米国のすべての肝移植プログラムに,24 項目の質問票を送付した.適用,評価,および転帰に関するデータを,単変量および多変量法を用いて分析した.最近の移植に関するデータは,移植レシピエントの学術的登録および移植プログラムから直接収集した.

結 果

122 件のプログラム中 84 件(69%)から質問票に回答があり,42 施設で行われた生体ドナーからの成人間部分肝移植 449 件の結果が記載されていた.14 施設はこのような移植を 1 施設当り 10 件以上行っており,14 施設全部を合せると,この種の移植の 80%を占めていた.このような移植を行った施設は,成人間移植を実施していない施設に比べて,死体ドナーからの肝移植および小児に対する生体ドナーからの肝移植も多く行っていた(それぞれ P=0.002,P=0.001).評価されたドナー候補者の計 45%は,最終的にみずからの肝臓の一葉を提供した;これらのドナーの 99%はレシピエントと遺伝的または感情的なつながりがあった.ドナーの合併症は,成人生体ドナーからの移植がもっとも少ない施設では頻度がより高く,介入を必要とする胆管合併症(6.0%),再手術(4.5%),および死亡(ドナー 1 例[0.2%])などであった.レシピエントのうち 1.6%は死体移植を受ける基準に適合していなかった;癌,再移植,および急性肝不全には,生体ドナーからの移植が適用されることはほとんどなかった.胆管合併症はレシピエントの 22.0%に認められ,血管合併症は 9.8%に認められた.

結 論

生体ドナーからの成人間肝移植は米国でますます多く実施されているが,実施件数の多い少数の施設に集中している.ドナーの死亡率は低いが,ドナーの合併症は比較的発生頻度が高い.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2003; 348 : 818 - 25. )