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March 6, 2003 Vol. 348 No. 10

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大腸腺腫予防のためのアスピリンの無作為試験
A Randomized Trial of Aspirin to Prevent Colorectal Adenomas

J.A. Baron and Others

背景

実験的な研究および疫学研究は,アスピリンが大腸において抗腫瘍作用を有することを示唆している.

方 法

大腸腺腫に対する化学予防薬として,アスピリンの無作為二重盲検試験を行った.組織学的に確認された腺腫に最近罹患した患者 1,121 例を,プラセボ(372 例),81 mg のアスピリン(377 例),325 mg のアスピリン(372 例)のいずれかの連日投与に無作為に割付けた.プロトコルに従って,適格性を判断する内視鏡検査の約 3 年後に,結腸鏡による追跡検査を行うよう計画した.リスク比と 95%信頼区間を計算するために,無作為化から少なくとも 1 年後に,一般化線形モデルを用いて 1 つ以上の腫瘍(腺腫または大腸癌)のリスクについて各群を比較した.

結 果

報告された試験薬の服薬遵守および非ステロイド性抗炎症薬の回避状況は優れていた.患者 1,084 例(97%)について,無作為化から最低 1 年後に結腸鏡による追跡検査を行った.1 個以上の腺腫の発生率は,プラセボ群では 47%であり,1 日に 81 mg のアスピリン投与を受けていた群では 38%,1 日に 325 mg のアスピリン投与を受けていた群では 45%であった(全体の P=0.04).あらゆる腺腫での未補正の相対リスク(プラセボ群と比較)は,81 mg 群では 0.81(95%信頼区間 0.69~0.96)であり,325 mg 群では 0.96(95%信頼区間 0.81~1.13)であった.進行性腫瘍(直径が 1 cm 以上,あるいは腺管絨毛状・絨毛状の特徴を有する腺腫,高度の異形成,浸潤性癌)では,それぞれの相対リスクは 0.59(95%信頼区間 0.38~0.92)と 0.83(95%信頼区間 0.55~1.23)であった.

結 論

低用量アスピリンは,大腸における腺腫にある程度の化学予防作用をもたらす.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2003; 348 : 891 - 9. )