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September 18, 2003 Vol. 349 No. 12

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抗リン脂質抗体症候群患者に対する血栓症再発予防のためのワルファリン投与における 2 用量の比較
A Comparison of Two Intensities of Warfarin for the Prevention of Recurrent Thrombosis in Patients with the APS

M.A. Crowther and Others

背景

抗リン脂質抗体症候群(APS)と再発性血栓症を有する患者の多くは,国際標準比(INR)が 3.0 以上に達するように調節された投与量のワルファリンを受けている.しかし,血栓予防のためのこの方法を支持する前向きデータはない.

方 法

抗リン脂質抗体を有し,血栓症の既往がある患者を,INR が 2.0~3.0(中用量)または 3.1~4.0(高用量)に達するのに十分な量のワルファリン投与のいずれかに割り付ける,無作為二重盲検試験を行った.高用量ワルファリンが中用量ワルファリンよりも血栓予防に有効であることを示すことを目的とした.

結 果

計 114 例の患者を試験に組み入れ,平均 2.7 年間追跡した.血栓症の再発は,高用量ワルファリン投与に割り付けられた患者では 56 例中 6 例(10.7%)にみられ,中用量ワルファリン投与に割り付けられた患者では 58 例中 2 例(3.4%)にみられた(高用量群のハザード比 3.1,95%信頼区間 0.6~15.0).重大な出血は,高用量ワルファリン群患者 3 例および中用量ワルファリン群患者 4 例で発生した(ハザード比 1.0,95%信頼区間 0.2~4.8).

結 論

高用量ワルファリンは,抗リン脂質抗体を有し,血栓症の既往がある患者の血栓予防として,中用量ワルファリンより優れてはいなかった.目標 INR が 2.0~3.0 の患者で血栓症の再発率が低いことは,中用量のワルファリンが APS 患者に適切であることを示唆している.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2003; 349 : 1133 - 8. )