腎動脈抵抗指数と同種移植腎の生着
The Renal Arterial Resistance Index and Renal Allograft Survival
J. Radermacher and Others
腎移植は,慢性移植腎症あるいはレシピエントの死亡のため失敗となることが多いが,長期転帰を予測する確かな因子は明らかにされていない.われわれは,腎動脈抵抗指数が 80 未満であることが同種移植腎の長期生着を予測するかどうかを検討した.
1997 年 8 月~1998 年 11 月に,移植後 3 ヵ月以上経過した患者 601 例において,超音波ドップラー法により腎区動脈の抵抗指数(収縮期の血流量に対する拡張末期の血流量の減少率 [%])を測定した.患者全員を 3 年以上追跡した.複合エンドポイントは,クレアチニンクリアランス値の 50%以上の減少,腎不全(透析の必要性で示される)または死亡であった.
患者計 122 例(20%)で抵抗指数が 80 以上であった.これらの患者のうち 84 例(69%)でクレアチニンクリアランスが 50%以上減少していたのに対し,抵抗指数 80 未満の患者では 479 例中 56 例(12%)であった.また,抵抗指数が高い患者では 57 例(47%)が透析を必要としたのに対し,抵抗指数が低い患者では 43 例(9%)であった.抵抗指数が高い患者では 36 例(30%)が死亡したのに対し,抵抗指数が低い患者では 33 例(7%)であった(全比較について P<0.001).抵抗指数が高い患者では計 107 例(88%)が複合エンドポイントに達したのに対し,抵抗指数が低い患者では 83 例(17%)であった(P<0.001).抵抗指数が高い患者における移植腎廃絶の多変量相対リスクは 9.1 であった(95%信頼区間 6.6~12.7).移植後の蛋白尿(蛋白排泄 1 g/日以上),症候性サイトメガロウイルス感染,クレアチニンクリアランス値が体表面積 1.73 m2 当り毎分 30 mL 未満であることもリスクを増大させた.
移植後 3 ヵ月以降に測定した腎動脈抵抗指数が 80 以上であることは,その後の移植腎の機能不良や死亡と関連している.