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October 9, 2003 Vol. 349 No. 15

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成人期まで続く小児喘息の人口ベースの経時的コホート研究
A Longitudinal, Population-Based, Cohort Study of Childhood Asthma Followed to Adulthood

M.R. Sears and Others

背景

成人における小児喘息の転帰が高リスクコホートで報告されているが,持続と再発の危険因子を報告した人口ベースの研究はほとんどない.

方 法

ニュージーランドのダニーデンで,1972 年 4 月~1973 年 3 月に生まれた小児を,質問票,肺機能検査,気管支負荷試験,アレルギー検査を用いて 9~26 歳まで継続的に評価した.

結 果

26 歳までに,すべての呼吸データが揃っている研究対象者 613 例のうち,51.4%が 1 回以上の評価で喘鳴を報告した.研究対象者 89 例(14.5%)では,小児期から 26 歳まで喘鳴が持続した.168 例(27.4%)は寛解したが,76 例(12.4%)ではその後 26 歳までに再発した.ハウスダスト中のダニへの感作は,喘鳴の持続(オッズ比 2.41,P=0.001)と再発(オッズ比 2.18;P=0.01)を予測し,気道反応性の亢進もこれらを予測した(持続に対するオッズ比 3.00;P<0.001;再発に対するオッズ比 3.03;P<0.001).性別が女性であることは,喘鳴の持続(オッズ比 1.71;P=0.03)を予測し,21 歳の時点で喫煙していることも喘鳴の持続(オッズ比 1.84;P=0.01)を予測した.発症年齢が低いほど再発のリスクが高かった(オッズ比,発症年齢が 1 年上るごとに 0.89;P<0.001).喘鳴が持続している患者は喘鳴が持続していない患者よりも常に肺機能が低かった.

結 論

任意抽出の出生コホートでは,小児の 4 人に 1 人以上が,小児期から成人まで喘鳴が続くか,寛解後に喘鳴が再発した.喘鳴の持続または再発の予測因子は,ハウスダスト中のダニへの感作,気道反応性の亢進,女性,喫煙,発症年齢が低いことであった.これらの知見は,低い肺機能が続くことと併せて,成人の喘息の転帰は,主に幼児期に決定する可能性があることを示唆している.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2003; 349 : 1414 - 22. )