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October 23, 2003 Vol. 349 No. 17

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胸痛患者におけるミエロペルオキシダーゼの予後予測因子としての有用性
Prognostic Value of Myeloperoxidase in Patients with Chest Pain

M.-L. Brennan and Others

背景

急性冠症候群において,炎症は有害転帰と関連している.ミエロペルオキシダーゼは白血球に豊富に存在する酵素であり,心臓が原因で突然死した患者では,亀裂が生じるか破裂するかして突然死の原因となった病変で増加している.多数の証拠から,ミエロペルオキシダーゼと炎症および心血管疾患とには,それぞれの機序に関連があることが示唆されている.

方 法

胸痛で救急診療部を受診した一連の患者 604 例を対象に,心血管イベントリスクの予後予測因子としての,血漿ミエロペルオキシダーゼ値の有用性を評価した.

結 果

初期の血漿ミエロペルオキシダーゼ値は,ベースライン時にトロポニン T が陰性(<0.1 ng/mL)であった患者でも心筋梗塞のリスクを予測した(P<0.001).受診時のミエロペルオキシダーゼ値も,症状発現後 30 日以内および 6 ヵ月以内の重大な有害心イベント(心筋梗塞,血行再建が必要なイベント,死亡)のリスクを予測した(P<0.001).心筋壊死を示す証拠のない患者(トロポニン T が陰性の患者と定義)では,ベースライン時のミエロペルオキシダーゼ値は,30 日の時点(2 番目,3 番目,4 番目の四分位群に対する粗オッズ比は,それぞれ 2.2[95%信頼区間 1.1~4.6],4.2[95%信頼区間 2.1~8.4],4.1[95%信頼区間 2.0~8.4])および 6 ヵ月の時点での,重大な有害冠動脈イベントのリスクを独立して予測した.

結 論

初期の血漿ミエロペルオキシダーゼの 1 回の測定は,その後の 30 日間および 6 ヵ月間における重大な有害心イベントのリスクと,心筋梗塞の早期リスクを独立して予測する.ミエロペルオキシダーゼ値は,トロポニン T,クレアチンキナーゼ MB アイソフォーム,および C 反応性蛋白値とは大きく異なり,心筋壊死がない段階で心イベントのリスクがある患者を同定する.このことは,胸痛を呈する患者のリスクを層別化するうえで,ミエロペルオキシダーゼ値が有用である可能性を明らかにしている.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2003; 349 : 1595 - 604. )