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October 23, 2003 Vol. 349 No. 17

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米国退役軍人局医療制度受給者の病院利用率と生存率
Hospital Use and Survival among Veterans Affairs Beneficiaries

B.L. Strom and Others

背景

1990 年代半ばに開始された米国退役軍人局(VA)医療制度の再編成の一環として,病院医療の縮小が提唱された.われわれは,重篤な慢性疾患を有する VA 受給者を対象に,1994~98 年における VA 医療サービスの利用率と生存率の変化について調査した.病院での治療の利用が大幅に減少した場合,あるいは病院利用の減少が外来診療の改善によって相殺されなかった場合は,救急での受診が増加するか,生存率が低下するという仮説を立てた.

方 法

9 つの疾患コホート集団の VA 受給者(受給者計 342,300 人)を対象に,患者-年当りのリスクで補正した VA 病床-日率,受診率,検査・診察のための来院率,救急での受診率の変化を追跡した.また,65 歳以上で,出来高払いによるメディケア制度に登録している VA 受給者の,VA 病院以外の病院の利用傾向も調査した.VA とメディケアの生存状態データを用いて,1 年間の生存率を算出した.

結 果

1994~98 年では,VA 病床-日率は 50%減少し,受診率や検査・診察のための来院率は緩やかに増加し,救急での受診率は 35%減少した.VA 病院利用の著しい減少は,VA の医療制度とメディケアの両方の資格を有する退役軍人において,メディケアで補償される VA 病院以外の病院の利用が増加したことでは補われず,VA 病院以外の病院の利用は 4 コホート集団でかえって減少した.生存率は,研究期間中に基本的に変化しなかった.

結 論

1994~98 年における VA 病院利用の顕著な減少は,必要な診療を利用する権利を奪うことなく,また,慢性疾患の VA 受給者の重篤な結果とも関連していなかった.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2003; 349 : 1637 - 46. )