The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

年間購読お申込み

日本語アブストラクト

November 13, 2003 Vol. 349 No. 20

Share

Share on Facebook
Facebookで共有する
Share on Twitter
Twitterでつぶやく
Share on Note
noteに投稿する

RSS

RSS

進行期パーキンソン病における両側視床下核刺激の 5 年間の追跡
Five-Year Follow-up of Bilateral Stimulation of the Subthalamic Nucleus in Advanced Parkinson's Disease

P. Krack and Others

背景

進行期パーキンソン病患者に対する両側視床下核刺激の短期利益は十分に実証されているが,この処置の長期転帰は不明である.

方 法

両側視床下核刺激で治療した,最初の連続した患者 49 例について 5 年間の前向き研究を行った.患者は 1,3,5 年目に,レボドパの作用が発揮している状態(服薬時)とレボドパの作用がない状態(休薬時)において,パーキンソン病統一スケール(Unified Parkinson's Disease Rating Scale: UPDRS)を用いて評価した.7 例の患者では,そのうちの3 例が死亡し,4 例が追跡不能であったため,試験を終了しなかった.

結 果

ベースライン時と比較し,5 年後の運動機能スコアは休薬時に 54%改善し(P<0.001),日常生活動作スコアは 49%改善した(P<0.001).運動機能のうち発語のスコアのみが休薬時に改善しなかった.1 年目では,服薬時の運動機能スコアはジスキネジアのスコアを除き改善しなかった.服薬時の無動,発語,姿勢の安定性,すくみ足は 1 年目から 5 年目のあいだで悪化した(すべての P<0.001).5 年目では,ドパミン作動薬の用量およびレボドパ誘発性ジスキネジアの持続期間と重症度が,ベースライン時と比較して低下していた(それぞれの P<0.001).認知機能の平均スコアには変化がなかったが,3 年後に患者 3 例で痴呆が発症した.うつの平均スコアには変化がなかった.重症の有害事象として,患者 1 例に大量の脳内出血があった.患者 1 例が自殺した.

結 論

両側視床下核刺激による治療を受けた進行期パーキンソン病患者は,休薬時には運動機能,服薬時にはジスキネジアにおいて 5 年間で著明な改善を示した.対照群は置かなかったが,1 年目から 5 年目のあいだの無動,発語,姿勢の安定性,すくみ足,認知機能の悪化は,パーキンソン病の自然経過に一致する.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2003; 349 : 1925 - 34. )