November 27, 2003 Vol. 349 No. 22
米国における外科医の手術件数と手術死亡率
Surgeon Volume and Operative Mortality in the United States
J.D. Birkmeyer and Others
病院の手術件数と手術死亡率の関係については十分に立証されているが,ほとんどの手技に関して,執刀外科医の経験の相対的重要性は明らかではない.
1998~99 年の米国メディケア請求データベースの情報を用いて,8 種類の心臓血管手術または癌切除術のうちの 1 つを受けたすべての患者,474,108 例の死亡率を調べた.ネストした回帰モデルを用いて,患者の特徴と医療機関の特徴について補正後,手術死亡率と外科医の手術件数および病院の手術件数(それぞれ 1 年当りの総手術数に換算)の関係を調べた.
8 手技すべてについて,外科医の手術件数は手術死亡率と負の相関を示した(肺切除術 P=0.003,他の手技 P<0.001).手術死亡率に対する補正オッズ比(手術件数の少ない外科医の患者 対 手術件数の多い外科医の患者)は肺切除術の 1.24 から膵臓切除術の 3.61 まで手技によって大きく変動した.病院の手術件数の見かけの影響は,その大半が外科医の手術件数に由来するもので,手技によって異なった.病院の手術件数による影響は,大動脈弁置換術の場合100%外科医の手術件数によるものであり,腹部大動脈瘤の待機的な修復術では 57%,膵臓切除術 55%,冠動脈バイパス術 49%,食道切除術 46%,膀胱切除術 39%,肺切除術 24%であった.ほとんどの手技について,病院の外科手術件数とは無関係に,手術件数の少ない外科医の患者のほうが手術件数の多い外科医の患者よりも死亡率が高かった.
多くの手技について,病院の手術件数と手術死亡率のあいだに関連性がみられたが,それには外科医の手術件数が大きく影響している.患者は,手術件数が多い病院においても,手術を頻繁に行う外科医を選択することにより,多くの場合生存の見込みをかなり上昇させることが可能である.