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December 11, 2003 Vol. 349 No. 24

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プラーク内出血と冠動脈粥状硬化症の進行
Intraplaque Hemorrhage and Progression of Coronary Atheroma

F.D. Kolodgie and Others

背景

プラーク内出血は,進行した冠動脈粥状硬化病変によく認められる.出血とプラークの破綻しやすさとの関連には,赤血球膜に由来する遊離コレステロールの蓄積が関与している可能性がある.

方 法

冠動脈系の原因で突然死した患者の中から無作為に選んだ 24 例に由来する多数の冠動脈病変を,過去に生じたプラーク内出血のマーカーである抗グリコホリン A(陰イオン交換を促進する赤血球に特異的な蛋白質)抗体と,鉄(ヘモシデリン)に対するマロリー染色とを用いて染色した.冠動脈病変は,病的な内膜肥厚を呈する病変,コアが壊死の初期または後期段階にある線維性被膜アテローム,線維性被膜の薄いアテローム(破裂しやすいプラーク)に分類した.さらに,プラーク内出血に対する動脈の反応を,粥状硬化症のウサギモデルで明らかにした.

結 果

病的な内膜肥厚を呈する病変でもコアが壊死の初期段階にある線維性被膜アテロームでも,グリコホリン A と鉄はごく微量しか認められなかった.これに対し,コアが壊死の後期段階にある線維性被膜プラーク,あるいは被膜の薄い線維性アテロームでは,沈着した鉄に囲まれたコレステロール裂において,グリコホリン A が顕著に増加していた.グリコホリン A および鉄量の増加は,壊死性コアの拡大およびマクロファージ浸潤の増加と関連していた.壁内に出血を誘発させたウサギの病変では,赤血球断片を含むコレステロール結晶,泡沫細胞,鉄沈着が一貫して認められた.これに対し,同一個体に由来する対照病変では,マクロファージおよび脂質含量の低下が著明であった.

結 論

粥状硬化を示すプラーク内の赤血球膜の蓄積は,遊離コレステロールの沈着,マクロファージ浸潤,壊死性コアの拡大の一因となることで,アテロームを形成させる強い刺激をもたらす可能性がある.これらの因子はプラーク不安定化のリスクを増大させる可能性がある.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2003; 349 : 2316 - 25. )