The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

年間購読お申込み

日本語アブストラクト

August 14, 2003 Vol. 349 No. 7

Share

Share on Facebook
Facebookで共有する
Share on Twitter
Twitterでつぶやく
Share on Note
noteに投稿する

RSS

RSS

米国における臓器提供候補者数の推定
Estimating the Number of Potential Organ Donors in the United States

E. Sheehy and Others

背景

移植可能な臓器の必要性が増すにつれて,いっそう患者の待機リストが長くなる.われわれは,3 年間にわたり脳死ドナーの候補者の規模と構成を全米規模で検討し,これらのデータに基づいて臓器提供率を上昇させる方法を検討した.

方 法

36 の臓器調達機関の管轄区域で,1997~99 年に集中治療室で死亡した患者の医療記録を再検討し,脳死臓器提供候補者を同定した.臓器提供候補者の特徴,臓器調達機関への委託過程,臓器提供の要求過程,および病院のデータを検討した.

結 果

研究期間中,計 18,524 例の脳死臓器提供候補者を同定した.年間の推定脳死臓器提供候補者数は,10,500~13,800 人である.1997~99 年の同意率(臓器提供を依頼された家族の数で除した臓器提供に同意した家族の数)は 54%であり,全転換率(臓器提供候補者数で除した実際の臓器提供者数)は 42%であった.150 床以上の病院は,より小さな病院に比べて,臓器提供候補者と実際の臓器提供者が多く存在する傾向が高かった(P<0.001).19%の病院で全臓器提供候補者の 80%を占めていた.一般集団における 100 万人当りの臓器提供者数の算定値は,転換率で評価すると,臓器調達機関の実績と十分に相関しなかった.

結 論

臓器提供の要請に対する同意の欠如が,臓器提供候補者数と実際の臓器提供者数とのあいだの格差の主な原因であった.臓器提供候補者と実際の臓器提供者はより大きな病院に非常に集中しているため,より大きな病院での同意取得手順を改善するために資金を投入することで,臓器摘出率が最大限に上るであろう.臓器調達機関の成績は,一定の管轄区域での実際の臓器提供者数と臓器提供候補者数との比較を通じて,客観的に評価することができる.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2003; 349 : 667 - 74. )