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August 21, 2003 Vol. 349 No. 8

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顆粒球コロニー刺激因子によるプライミングが急性骨髄性白血病に対する
Effect of Priming with Granulocyte Colony-Stimulating Factor on the Outcome of Chemotherapy for Acute Myeloid Leukemia

B. Löwenberg and Others

背景

造血因子による白血病細胞の感作は,急性骨髄性白血病(AML)に対する化学療法の細胞毒性を増強する可能性がある.

方 法

多施設共同無作為試験で,新たに AML と診断された患者(年齢 18~60 歳)を,シタラビン+イダルビシン投与(サイクル 1),シタラビン+アムサクリン投与(サイクル 2)に,顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)を併用する群(321 例)と,併用しない群(319 例)に割付けた.G-CSF は必ず化学療法と同時に投与した.イダルビシンとアムサクリンは,G-CSF と併用する場合も,細胞周期に依存したシタラビンの細胞毒性がより大きな効果をもつように,サイクルの終りに投与した.全患者,および細胞遺伝学的に異なる予後のサブグループについて,G-CSF の無病生存率への効果を評価した.

結 果

導入化学療法後,両群で奏効率に有意差はなかった.中央値 55 ヵ月の追跡期間のあと,導入化学療法+G-CSF 投与後に完全寛解した患者は,G-CSF 投与を受けなかった患者に比べて無病生存率が高かった(4 年間で 42% 対 33%,P=0.02).これは,再発の確率の減少によるものであった(相対リスク 0.77;95%信頼区間 0.61~0.99;P=0.04).G-CSF は全生存率を有意に改善しなかった(P=0.16).G-CSF は,好ましくない予後のサブグループでは転帰を改善しなかったが,標準リスクの AML 患者の 72%は G-CSF から利益を得た(4 年間の全生存率 45%,これに対し G-CSF 非投与群では 35% [死亡の相対リスク 0.75;95%信頼区間 0.59~0.95;P=0.02];無病生存率 45% 対 33% [相対リスク 0.70];95%信頼区間 0.55~0.90;P=0.006).

結 論

増殖因子による白血病細胞の感作は,AML 患者における化学療法の有効性を増強させる,臨床的に適用できる方法である.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2003; 349 : 743 - 52. )