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August 28, 2003 Vol. 349 No. 9

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多剤耐性ヒト免疫不全ウイルス感染患者に対する計画的な治療中断
Structured Treatment Interruption in Patients with Multidrug-Resistant Human Immunodeficiency Virus

J. Lawrence and Others

背景

われわれは,多剤耐性ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染患者に対する 2 つの治療法を比較した.

方 法

多剤耐性 HIV に感染し,HIV RNA 濃度が 5,000 コピー/mL 以上の患者を,4 ヵ月の計画的な治療中断を行ったあとに抗レトロウイルス療法を変更する群(治療中断群),または即時に抗レトロウイルス療法を変更する群(対照群)に割付けた.遺伝子型および表現型について耐性検査を実施した.疾患の進行,死亡,遺伝子型による耐性の変化,CD4 細胞数,HIV RNA 濃度,および QOL を評価した.

結 果

中央値 11.6 ヵ月の追跡調査後,疾患の進行または死亡は,治療中断群の患者 138 例中 22 例および対照群の患者 132 例中 12 例で生じた(P=0.01).治療中断群のハザード比は 2.57(95%信頼区間 1.2~5.5)であった.各群で 8 例の死亡が認められた.治療中断群の患者の 64.0%で,4 ヵ月経過するまでに変異 HIV 集団が完全または部分的に野生型に復帰した.対照群と比較して,治療中断群では平均 CD4 細胞数が 0~4 ヵ月目で 85 個/mm3(P<0.001)少なく,5~8 ヵ月目では 47 個/mm3(P<0.001),8 ヵ月後以降では 31 個/mm3 少なかった(P=0.11).平均 HIV RNA 濃度は,0~4 ヵ月目では治療中断群のほうが 1.2 log コピー/mL(対数の底は 10)高かったが(P<0.001),4 ヵ月以降は対照群との有意差が認められなかった.全般的な QOL は 2 群でほぼ同じであった.

結 論

多剤耐性 HIV 感染患者において,計画的な治療中断は,疾患がより進行することと関連していた.また,免疫学的またはウイルス学的な利益が付与されることはなく,全般的な QOL は改善されなかった.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2003; 349 : 837 - 46. )