August 28, 2003 Vol. 349 No. 9
局所進行膀胱癌に対する術前補助化学療法+膀胱切除術と膀胱切除術単独との比較
Neoadjuvant Chemotherapy plus Cystectomy Compared with Cystectomy Alone for Locally Advanced Bladder Cancer
H.B. Grossman and Others
積極的な局所治療にもかかわらず,局所進行膀胱癌の患者は転移のリスクが大きい.われわれは,根治的膀胱切除による治療を受けた局所進行膀胱癌の患者を対象にして,術前補助化学療法が転帰を改善する能力を評価した.
筋層まで浸潤した膀胱癌(T2 期~T4a 期)で,根治的膀胱切除を受ける予定の患者を組み入れた.患者を年齢(65 歳未満 対 65 歳以上)と病期(表層筋層への浸潤型 対 進展型)に従って層別化し,根治的膀胱切除の単独療法,またはメトトレキサート,ビンブラスチン,ドキソルビシン,シスプラチンによる 3 サイクルの治療とそれに続く根治的膀胱切除の併用療法のいずれかに無作為に割付けた.
患者 317 例を 11 年にわたり組み入れたが,そのうち 10 例は不適格と判明した.そのため,患者 154 例が手術のみを受け,153 例が併用療法を受けた.intention-to-treat 解析によると,生存期間の中央値は,手術単独に割付けられた患者では 46 ヵ月であったのに対し,併用療法に割付けられた患者では 77 ヵ月であった(両側層別化 log-rank 検定による P=0.06).両群において,生存期間の改善は膀胱切除後の標本に残存する癌が存在しないことと関連していた.併用療法群では,膀胱切除群よりも,残存する癌のない患者が有意に多かった(38% 対 15%,P<0.001).
根治的膀胱切除術単独と比較すると,術前補助療法としてのメトトレキサート,ビンブラスチン,ドキソルビシン,シスプラチンの使用とそれに続く根治的膀胱切除は,膀胱切除後の標本に残存する癌が除去される可能性を高め,局所進行膀胱癌患者の生存期間の改善と関連している.