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January 1, 2004 Vol. 350 No. 1

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陰部ヘルペスの伝播リスクの低減を目的とした 1 日 1 回のバラシクロビル投与
Once-Daily Valacyclovir to Reduce the Risk of Transmission of Genital Herpes

L. Corey and Others

背景

単純ヘルペスウイルス(HSV)の予防に用いるヌクレオシド類似化合物は,HSV-2 型(HSV-2)の性器粘膜表面への発現を抑制することが示されており,性行為による HSV の伝播を予防する可能性がある.

方 法

正常な免疫能を有し,異性愛で,1 対 1 の性的関係にある男女 1,484 組を追跡した.男女の一方は,症候性の陰部 HSV-2 感染者であり,そのためもう一方には HSV-2 感染のリスクがあった.HSV-2 に感染しているパートナーを,1 日 1 回 500 mg のバラシクロビルまたはプラセボのいずれかを 8 ヵ月間投与する群に無作為に割付けた.感染リスクのあるパートナーでは,陰部ヘルペスの臨床徴候および症状を毎月評価した.感染源となるパートナーでは陰部ヘルペスの再発を追跡し,89 例を HSV-2 の粘膜への発現に関する補足的な研究に組み入れた.パートナーの双方に,より安全な性行為についてカウンセリングを行い,来院ごとにコンドームを提供した.あらかじめ定義した主要エンドポイントは,症候性陰部ヘルペスの伝播の減少であった.

結 果

臨床症状を示す HSV-2 感染を発症したのは,感染リスクのあるパートナーのうち,バラシクロビル投与を受けた人のパートナーで 743 例中 4 例であったのに対し,プラセボ投与を受けた人のパートナーでは 741 例中 16 例であった(ハザード比 0.25;95%信頼区間 0.08~0.75;P=0.008).全体では,HSV-2 感染は,バラシクロビル投与を受けた人のパートナーで 14 例(1.9%)にみられたのに対し,プラセボ投与を受けた人のパートナーでは 27 例(3.6%)であった(ハザード比 0.52;95%信頼区間 0.27~0.99;P=0.04).HSV DNA が性器分泌物のサンプルから検出されたのは,バラシクロビル投与を受けた HSV-2 感染者(感染源)ではサンプル採取日の 2.9%であったのに対し,プラセボ投与を受けた人では 10.8%であった(P<0.001).平均再発率は,それぞれ 1 ヵ月当り 0.11 と 0.40 であった(P<0.001).

結 論

バラシクロビルによる 1 日 1 回の抑制療法は,異性愛の関係にあり,一方のみが HSV-2 に感染している男女で,陰部ヘルペスの伝播リスクを有意に低減させる.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2004; 350 : 11 - 20. )