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April 1, 2004 Vol. 350 No. 14

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冠動脈心疾患の予測における C 反応性蛋白と血中炎症マーカー
C-Reactive Protein and Other Circulating Markers of Inflammation in the Prediction of Coronary Heart Disease

J. Danesh and Others

背景

C 反応性蛋白は,冠動脈イベントの予測に有用であると考えられている炎症マーカーである.C 反応性蛋白および他の血中炎症マーカーと冠動脈心疾患の予測との関連性を評価することを目的として,大規模研究のデータと最新のメタ解析を報告する.

方 法

レイキャビク(アイスランド)の前向き研究の参加者 18,569 例を対象に,研究期間中に致命的ではない心筋梗塞を発症したか,冠動脈心疾患で死亡した 2,459 例の患者と,冠動脈心疾患イベントがみられなかった対照者 3,969 例からベースライン時に採取した検体を測定した.また,炎症マーカー濃度の個人内変動を定量するため,これらの参加者のうち 379 例から,平均 12 年の間隔を空けて対となる検体を採取し,測定を行った.

結 果

C 反応性蛋白濃度の長期安定性(個人内変動に関する相関係数 0.59;95%信頼区間 0.52~0.66)は,血圧および血清中の総コレステロールの長期安定性と同程度であった.ベースライン時の C 反応性蛋白濃度が群内の上位 1/3 の参加者と下位 1/3 の参加者を比較した場合,確立された危険因子に対するベースライン値で補正後,冠動脈心疾患のオッズ比は 1.45 であった(95%信頼区間 1.25~1.68).計 7,068 例の冠動脈心疾患患者を組み入れた最新のメタ解析でも全般的に類似した所見がみられた.これに対し,冠動脈心疾患に関するレイキャビク研究において,赤血球沈降速度(1.30;95%信頼区間 1.13~1.51)および von Willebrand 因子の濃度(1.11;95%信頼区間 0.97~1.27)のオッズ比は,C 反応性蛋白濃度のオッズ比より低い傾向にあったが,総コレステロール値の上昇(2.35;95%信頼区間 2.03~2.74)および喫煙(1.87;95%信頼区間 1.62~2.16)などの確立された危険因子のオッズ比は概して高かった.

結 論

C 反応性蛋白は,冠動脈心疾患の比較的中程度の予測因子である.冠動脈心疾患発症の可能性を予測するさいに C 反応性蛋白の使用を推奨することについて,再検討する必要がある.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2004; 350 : 1387 - 97. )