口腔白斑の切除と異数性が死亡率に及ぼす影響
The Influence of Resection and Aneuploidy on Mortality in Oral Leukoplakia
J.Sudbø and Others
口腔白斑の標準療法は経過観察から完全切除まで多岐にわたるが,これらの方法の有用性は不明である.
二倍体異形成の口腔白斑症患者 103 例,四倍体病変を有する患者 20 例,ならびに異数体病変を有する患者 27 例において,切除,倍数性,癌による死亡の関連性を検討した.癌に特異的な死亡と癌治療のデータは,ノルウェーがん登録(Cancer Registry of Norway),ノルウェー統計局(Statistics Norway),およびカルテ調査から得た.
平均追跡期間 80 ヵ月(範囲 4~237)のあいだに,白斑症患者 150 例中 47 例(31%)が原発性口腔癌を発症した.うち 5 例が二倍体,16 例が四倍体,26 例が異数体の白斑であった.最初に切除した白斑の断端の状態と口腔癌発症のあいだに関連は認められなかった(P=0.95).癌を発症した患者 47 例中 26 例(55%;4 例は以前から四倍体病変を有し,22 例は異数体病変を有していた)に再発がみられた.異数体病変を有する患者では,四倍体または二倍体病変を有する患者と比較して,再発が多発性かつ遠隔再発(口腔内)である頻度が高かった.47 例全例が標準療法である外科手術と放射線照射を受け,癌が再発した 26 例は引き続き化学療法を受けた.口腔癌で死亡したのは異数体白斑を有する患者のみで,癌による 5 年死亡率は 72%であった.異数体に関連した最初の癌は,二倍体または四倍体白斑に起因する癌と比較し,病期がより進行してから診断され(P=0.03),病期にかかわらず致死的となる可能性が高かった.
異数体白斑の完全切除は,進行性癌ならびに口腔癌による死亡の高いリスクを減少させない.