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April 22, 2004 Vol. 350 No. 17

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心停止を起した小児における高用量エピネフリンと標準用量エピネフリンの比較
A Comparison of High-Dose and Standard-Dose Epinephrine in Children with Cardiac Arrest

M.B.M. Perondi and Others

背景

心停止を起した小児を蘇生させようとする試みがエピネフリンの初回用量の投与にもかかわらず失敗した場合,次に投与するエピネフリンの量(すなわち臨時追加投与量)が,初回と同用量(標準用量)であるべきかより高用量であるべきか明らかにされていない.

方 法

前向き無作為二重盲検試験を行い,標準用量エピネフリンの初回投与が失敗に終った小児において,院内心停止に対する救済療法として高用量エピネフリン(0.1 mg/kg 体重)と標準用量エピネフリン(0.01 mg/kg 体重)とを比較した.試験には小児 68 例を組み入れ,ウツタイン様式による報告のガイドラインを使用した.主要転帰評価項目は心停止後 24 時間の生存とした.

結 果

24 時間の時点での生存率は,救済療法として高用量エピネフリンに割付けた群では,標準用量に割付けた群よりも低かった.24 時間生存した患者は,高用量群では 34 例中 1 例であったのに対し,標準用量群では 34 例中 7 例であった(高用量での死亡の未補正オッズ比 8.6,97.5%信頼区間 1.0~397.0;P=0.05).心停止時における群間差を多重ロジスティック回帰分析で補正後も,高用量群では,24 時間の生存率が標準用量群より低い傾向にあった(死亡に対するオッズ比 7.9;97.5%信頼区間 0.9~72.5;P=0.08).自発循環の回復率については,両治療群に有意差はみられなかった(高用量群 20 例,標準用量群 21 例,オッズ比 1.1;97.5%信頼区間 0.4~3.0).生存して退院した患者は,高用量群ではいなかったのに対し,標準用量群では 4 例であった.呼吸停止によって心停止を起した患者 30 例のうち,高用量エピネフリン投与に割付けられた 12 例では 24 時間生存した患者はいなかったのに対し,標準用量に割り付けられた 18 例では 7 例が生存した(P=0.02).

結 論

標準用量エピネフリンの初回投与に反応しなかった小児において,院内心停止に対する高用量エピネフリン救済療法の利益はみられなかった.今回のデータは,高用量による治療は標準用量による治療よりも劣っている可能性があることを示唆している.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2004; 350 : 1722 - 30. )