非虚血性拡張型心筋症患者に対する除細動器の予防的植込み
Prophylactic Defibrillator Implantation in Patients with Nonischemic Dilated Cardiomyopathy
A. Kadish and Others
非虚血性拡張型心筋症患者は,心原性の突然死を起すリスクが高い.しかし,そのような患者の突然死の回避を目的とした,植込み型電気除細動器(ICD)の予防的植込みの有用性については明らかにされていない.
非虚血性拡張型心筋症で,左室駆出率が 36%未満であり,心室性期外収縮または非持続性心室性頻拍の認められる患者 458 例を登録した.計 229 例の患者を標準的な内科的治療に,229 例を標準的内科的治療と単室 ICD の併用に無作為に割付けた.
患者を,平均(±SD)29.0±14.4 ヵ月追跡調査した.平均左室駆出率は 21%であった.大部分の患者は,アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬(86%)と β 遮断薬(85%)による治療を受けた.死亡は 68 件発生し,ICD 群で 28 件であったのに対し,標準的治療群では 40 件であった(ハザード比 0.65;95%信頼区間 0.40~1.06;P=0.08).2 年間の死亡率は,標準的治療群で 14.1%(年間死亡率 7%),ICD 群で 7.9%であった.不整脈による突然死は 17 件発生し,ICD 群で 3 件であったのに対し,標準的治療群では 14 件であった(ハザード比 0.20;95%信頼区間 0.06~0.71;P=0.006).
電気除細動器の植込みは,ACE 阻害薬と β 遮断薬による治療を受けている重症非虚血性拡張型心筋症患者において,不整脈による突然死のリスクを有意に減少させ,有意ではないものの,全死因死亡のリスクの減少と関連していた.