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June 10, 2004 Vol. 350 No. 24

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外科手術後の悪心と嘔吐の予防に関する 6 種類の介入の要因研究
A Factorial Trial of Six Interventions for the Prevention of Postoperative Nausea and Vomiting

C.C. Apfel and Others

背景

手術を受ける患者は,処置が行われない場合その 1/3 で悪心・嘔吐が生じる.これまでに多くの試験が行われてきたが,制吐を目的とした予防的介入に関して,単独または複数を併用した場合の相対的利益は,依然として明らかにされていない.

方 法

術後の悪心・嘔吐のリスクが高い患者 5,199 例を,3 種類の制吐療法の相互作用を評価するための要因計画による無作為対照試験に組み入れた.これらの患者のうち 4,123 例を,6 種類の予防的介入の,64 通りの組み合せの中の 1 つに無作為に割付けた.6 種類の介入は,4 mg のオンダンセトロン投与または非投与,4 mg のデキサメタゾン投与または非投与,1.25 mg のドロペリドール投与または非投与,プロポフォールまたは揮発性麻酔薬の投与,窒素または亜酸化窒素の投与,レミフェンタニルまたはフェンタニルの投与とした.残りの患者は,最初の 4 つの介入に無作為に割付けた.主要転帰は術後 24 時間以内の悪心・嘔吐の発生とし,盲検下で評価した.

結 果

オンダンセトロン,デキサメタゾン,およびドロペリドールにより,術後の悪心・嘔吐のリスクがそれぞれ約 26%低下した.プロポフォールでは 19%,窒素では 12%リスクが低下し,これらの併用(すなわち全静脈麻酔)によるリスクの低下は,それぞれの制吐薬でみられるリスクの低下と同程度であった.すべての介入は,互いに独立して作用し,その作用は患者のベースラインにおけるリスクとも関連しなかった.したがって,併用に関連する相対リスクは,各介入に関連する相対リスクを乗じることで推定可能であった.しかし,絶対リスクの低下は,患者のベースラインにおけるリスクと重要な相関関係があった.

結 論

制吐療法は,いずれも同程度に有効であり,独立して作用するため,もっとも安全で安価な方法を最初に行うべきである.低リスク患者では予防の必要はほとんどなく,中リスク患者では単独の介入で効果が得られる可能性があるため,併用療法は高リスク患者で行うべきである.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2004; 350 : 2441 - 51. )