末期腎疾患児の長期生存率
Long-Term Survival of Children with End-Stage Renal Disease
S.P. McDonald and J.C. Craig
末期の腎疾患を呈する患児に対し,数十年にわたって腎機能代行療法が行われてきたが,患児の長期生存率に関するデータはほとんどない.
オーストラリア・ニュージーランドの透析および移植登録(Australia and New Zealand Dialysis and Transplant Registry)のデータを用いて,腎機能代行療法開始時に 20 歳未満であった小児および青年全例について,長期生存率を調査した(研究期間 1963 年 4 月~2002 年 3 月).生存率は,Kaplan-Meier 法および年齢標準化死亡率を用いて解析した.死亡の危険因子は,時間依存性共変数を用いた Cox 回帰分析で解析した.
計 1,634 例の小児・青年を,中央値 9.7 年間追跡調査した.腎機能代行療法を必要とした小児の長期生存率は,10 年の時点で 79%,20 年の時点で 66%であった.死亡率は,末期腎疾患のない小児・青年の 30 倍であった.死亡の危険因子は,腎機能代行療法開始時の年齢が低いこと(とくに開始時に 1 歳未満であった患児では,リスクは 15~19 歳であった患児の 4 倍)や,透析治療(腎移植の 4 倍を超えるリスクと関連)であった.全体的にみて,生存率は 40 年にわたる研究のあいだに改善に向う傾向がみられた.
長期生存率は改善したものの,腎機能代行療法の必要な小児・青年の死亡率は,末期腎疾患のない小児・青年よりも依然としてかなり高い.透析ではなく腎移植によって治療する小児・青年の割合をふやせば,生存率はさらに向上する可能性がある.