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November 25, 2004 Vol. 351 No. 22

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インフルエンザワクチンの皮内接種後の血清抗体反応
Serum Antibody Responses after Intradermal Vaccination against Influenza

R.B. Belshe and Others

背景

低用量のインフルエンザワクチンの皮内接種が,安全で免疫原性をもつことが明らかになれば,ワクチン接種を受けられる人の数をふやすことができる.

方 法

非盲検試験において,119 例を,各抗原につき赤血球凝集素 6 μg(通常用量の 40%)を含む 3 種類混合の不活化インフルエンザワクチンの皮内接種に,119 例を,各抗原につき赤血球凝集素 15 μg を含む標準用量の筋肉内接種に無作為に割付けた.両群を年齢でさらに群分けした(18~60 歳と 61 歳以上).

結 果

18~60 歳の被験者では血清抗体反応が強く,皮内接種群と筋肉内接種群で有意差はなかった.また,被験者全員で赤血球凝集抑制反応(HAI)の抗体価が 40 倍以上であった.61 歳以上の被験者においても抗体反応は強かったが,筋肉内接種群でより強い傾向にあった.しかし,この結果は H3N2 株の抗原についてのみ有意であった.それでも,高齢被験者のうち,筋肉内接種群全員と皮内接種群の 93%が H3N2 株に対して 40 倍以上の HAI 抗体価を示し,両群全員が H1N1 株と B 株両者に対して 40 倍以上の HAI 抗体価を示した.局所疼痛の発生率は,18~60 歳の被験者では筋肉内接種群で皮内接種群よりも有意に高かったが,61 歳以上の被験者では差はみられなかった.局所炎症の徴候は,どちらの年齢群においても,皮内接種群で筋肉内接種群よりも有意に多くみられた.

結 論

標準用量のインフルエンザワクチンの筋肉内接種と比較し,低用量ワクチンの皮内接種は,18~60 歳の被験者において同程度の抗体反応をもたらしたが,61 歳以上の被験者では同程度の反応は得られなかった.

(本論文は 2004 年 11 月 4 日 www.nejm.org で発表された.)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2004; 351 : 2286 - 94. )