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December 16, 2004 Vol. 351 No. 25

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炎症マーカーと男性および女性における冠動脈心疾患のリスク
Inflammatory Markers and the Risk of Coronary Heart Disease in Men and Women

J.K. Pai and Others

背景

心血管イベントの予測因子として,可溶性腫瘍壊死因子 α(TNF-α)受容体の 1 型と 2 型(sTNF-R1,sTNF-R2),C 反応性蛋白,インターロイキン 6 の役割を同時に検討した研究はほとんどない.これらの炎症マーカーの独立した予測因子としての有用性については,まだ議論の余地がある.

方 法

コホート内症例対照研究を実施し,看護師健康調査(Nurses' Health Study)に参加している女性および医療専門家追跡調査(Health Professionals Follow-up Study)に参加している男性を対象に,冠動脈心疾患のリスクのマーカーとして,sTNF-R1,sTNF-R2,インターロイキン 6,C 反応性蛋白の血漿濃度を測定した.血液検体を提供した参加者で,ベースライン時に心血管疾患のなかった人のうち,8 年の追跡期間中に女性 239 例,6 年の追跡期間中に男性 265 例で,非致死性の心筋梗塞または致死性の冠動脈心疾患が発生した.リスクセット・サンプリング法を用いて,年齢,喫煙状態,採血日をマッチさせた対照を,2:1 の比率で選択した.

結 果

マッチさせた因子について補正後,インターロイキン 6 および C 反応性蛋白の高値は,男女で共に冠動脈心疾患のリスク上昇と有意に関連していたが,可溶性 TNF-α 受容体の高値は,女性でのみ有意であった.脂質および脂質以外の因子についてさらに補正したところ,すべての関連性が弱まったが,C 反応性蛋白値のみ依然として有意であった.参加者全体でみた場合,相対リスクは,C 反応性蛋白値が 1.0 mg/L 未満の人と比較し,3.0 mg/L 以上の人で 1.79 であった(95%信頼区間 1.27~2.51,傾向性の P<0.001).糖尿病と高血圧の有無についてさらに補正したところ,相対リスクは若干減少し,1.68 となった(95%信頼区間 1.18~2.38,傾向性の P=0.008).

結 論

炎症マーカー,とくに C 反応性蛋白の高値は,冠動脈心疾患のリスクの上昇を示唆する.血漿脂質濃度のほうが炎症マーカーよりもリスク上昇との関連性が強かったが,C 反応性蛋白値は,依然として冠動脈心疾患の有意な予測因子であった.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2004; 351 : 2599 - 610. )