The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

年間購読お申込み

日本語アブストラクト

July 22, 2004 Vol. 351 No. 4

Share

Share on Facebook
Facebookで共有する
Share on Twitter
Twitterでつぶやく
Share on Note
noteに投稿する

RSS

RSS

前庭神経炎に対するメチルプレドニゾロン,バラシクロビル,またはその併用
Methylprednisolone, Valacyclovir, or the Combination for Vestibular Neuritis

M. Strupp and Others

背景

前庭神経炎は,末梢前庭性眩暈の原因として 2 番目に多い.前庭神経炎の原因は,単純ヘルペスウイルス 1 型感染の再活性化であると見なされている.そのため,副腎皮質ステロイド,抗ウイルス薬,またはこれらの併用によって,前庭神経炎患者の転帰が改善する可能性がある.

方 法

前向き無作為二重盲検で 2×2 の要因試験を実施し,急性前庭神経炎患者を,プラセボ,メチルプレドニゾロン,バラシクロビル,メチルプレドニゾロン+バラシクロビルのいずれかを用いた治療に無作為に割付けた.前庭機能は,温度眼振検査で,前庭麻痺の評価式(片側性の反応麻痺の程度を測定するためのもの)を用いて,症状の発現後 3 日以内と 12 ヵ月後に測定した.

結 果

無作為化を受けた患者計 141 例のうち,38 例にプラセボ,35 例にメチルプレドニゾロン,33 例にバラシクロビル,35 例にメチルプレドニゾロン+バラシクロビルを投与した.症状発現時には前庭麻痺の重症度に群間差はなかった.12 ヵ月後の追跡時の末梢前庭機能改善の平均(±SD)は,プラセボ群で 39.6±28.1 パーセントポイント,メチルプレドニゾロン群で 62.4±16.9 パーセントポイント,バラシクロビル群で 36.0±26.7 パーセントポイント,メチルプレドニゾロン+バラシクロビル群で 59.2±24.1 パーセントポイントであった.分散分析では,メチルプレドニゾロンに有意な効果があることが示されたが(P<0.001),バラシクロビルには有意な効果がなかった(P=0.43).メチルプレドニゾロンとバラシクロビルの併用は,副腎皮質ステロイドの単独投与より優れてはいなかった.

結 論

前庭神経炎患者では,メチルプレドニゾロンにより末梢前庭機能の回復が有意に改善するが,バラシクロビルでは改善しない.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2004; 351 : 354 - 61. )