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August 12, 2004 Vol. 351 No. 7

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小児期の昆虫の刺傷によるアレルギーの転帰;毒液免疫療法を受けた場合と受けなかった場合
Outcomes of Allergy to Insect Strings in Children, with and without Venom Immunotherapy

D.B.K. Golden and Others

背景

小児の昆虫の刺傷によるアレルギーは「成長に伴い消失する」と考えられているが,この反応の自然経過を実証する報告はない.われわれは,小児期の昆虫の刺傷によるアレルギー反応の,10~20 年後の転帰について,毒液免疫療法を受けなかった患者と受けた患者を対象に検討した.

方 法

1978~85 年に,小児 1,033 例を昆虫の刺傷によるアレルギー反応と診断した.このうち 356 例が毒液免疫療法を受けた.これらの患者を対象に,1997 年 1 月~2000 年 1 月に電話または郵便で調査を行い,1987~99 年の期間に起った刺傷の転帰について判定を行った.

結 果

1,033 例のうち 512 例(50%)が調査に応じた.平均追跡期間は 18 年,毒液免疫療法を受けた患者の平均治療期間は 3.5 年で,刺傷の発生率は 43%であった.全身反応の発生率は,毒液免疫療法を受けていた患者(64 例中 2 例,3%)のほうが,受けていなかった患者(111 例中 19 例,17%)よりも低かった(P=0.007).中~重度の反応の既往がある患者において,反応の発生率は,毒液免疫療法を受けていなかった場合(22 例中 7 例,32%)のほうが,受けていた場合(43 例中 2 例,5%)よりも高かった(P=0.007).毒液免疫療法を受け,軽度の全身反応(皮膚症状のみ)の既往がある患者のうち,刺傷を受けた 21 例で全身反応を示した者はいなかった.

結 論

昆虫の刺傷によるアレルギー反応が成長に伴って消失しない小児は,臨床的に重要な数にのぼる.小児期の毒液免疫療法により,治療終了から 10~20 年経過しても,昆虫の刺傷に対する全身反応のリスクは有意に減少しており,この長期にわたる利益は,成人でみられる利益よりも大きい.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2004; 351 : 668 - 74. )