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August 19, 2004 Vol. 351 No. 8

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転移性乳癌における血液中の腫瘍細胞と疾患の進行,そして生存期間
Circulating Tumor Cells, Disease Progression, and Survival in Metastatic Breast Cancer

M. Cristofanilli and Others

背景

転移性乳癌では,血液中の腫瘍細胞数で生存期間を予測することが可能であるという仮説を検証した.

方 法

前向き多施設共同研究を行い,転移性乳癌が認められた患者 177 例を対象に,新しい治療の開始前と初回追跡受診時に,血液中の腫瘍細胞数を評価した.参加施設で標準的に行われている画像検査を利用し,疾患の進行や治療への反応を判定した.

結 果

ベースラインにおける血液中の腫瘍細胞数に基づいて転帰を評価した.ベースラインは,転移性癌に対する新しい治療を開始する前とした.血液中の腫瘍細胞数が全血 7.5 mL 当り 5 個以上のトレーニングセットの患者は,7.5 mL 当り 5 個未満の群と比較して,無進行生存期間の中央値が短く(2.7 ヵ月 対 7.0 ヵ月,P<0.001),全生存期間が短かった(10.1 ヵ月 対 18 ヵ月超,P<0.001).この群間差は治療開始後の初回追跡受診時においても残っており(無進行生存 2.1 ヵ月 対 7.0 ヵ月;全生存 8.2 ヵ月 対 18 ヵ月超;P<0.001),予後不良群に属する患者の割合が減少したことから(49%から 30%に減少),治療による利益があったことが示唆された.多変数 Cox 比例ハザード回帰分析では,統計モデルの全変数のうち,ベースライン時と初回追跡受診時の血液中の腫瘍細胞数が,無進行生存および全生存のもっとも重要な予測因子であることが示された.

結 論

転移性乳癌患者において,治療前の血液中の腫瘍細胞数は,無進行生存期間および全生存期間の独立した予測因子である.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2004; 351 : 781 - 91. )