The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

年間購読お申込み

日本語アブストラクト

August 26, 2004 Vol. 351 No. 9

Share

Share on Facebook
Facebookで共有する
Share on Twitter
Twitterでつぶやく
Share on Note
noteに投稿する

RSS

RSS

小児のグルココルチコイド感受性ネフローゼ症候群における高用量グルココルチコイドの長期投与と骨塩量
Long-Term, High-Dose Glucocorticoids and Bone Mineral Content in Childhood Glucocorticoid-Sensitive Nephrotic Syndrome

M.B. Leonard and Others

背景

グルココルチコイドは骨形成を抑制し,成長を阻害し,肥満を誘発する.グルココルチコイド感受性ネフローゼ症候群は,単独で骨に及ぼす影響はごくわずかしか知られていない疾患である.この疾患の小児において,グルココルチコイドを用いた長期治療が骨塩量に及ぼす影響を検討した.

方 法

ネフローゼ症候群の小児および青年 60 例と対照被験者 195 例について,全身と脊椎の二重エネルギー X 線吸収測定法を実施した.対数変換値の線形回帰分析により,患者群と対照群の骨塩量を比較した.

結 果

患者群は平均で 23,000 mg のグルココルチコイド投与を受けており,対照群よりも身長が低く(P=0.008),体格指数が高かった(P<0.001).骨面積,年齢,性別,成熟度(タナー段階),人種について補正後の脊椎の骨塩量は,患者群と対照群で有意差はなかった(比 0.99;95%信頼区間 0.96~1.02;P=0.51).体格指数の z 値について補正後の脊椎の骨塩量は,患者群で対照群よりも有意に少なかった(0.96;95%信頼区間 0.92~0.99;P=0.01).身長,年齢,性別,成熟度,人種について補正後の全身骨塩量は,患者群で対照群よりも有意に多かった(比 1.11;95%信頼区間 1.05~1.18;P<0.001).一方,モデルに体格指数の z 値を加えると,ネフローゼ症候群との関連性は消失した(比 0.99;95%信頼区間 0.94~1.03;P=0.55).

結 論

成長期に行う高用量のグルココルチコイドを用いた間欠的治療は,年齢,骨の大きさ,性別,成熟度に関連した脊椎または全身の骨塩量の欠乏とは関連しないと考えられる.グルココルチコイドにより誘発される体格指数の上昇は,全身骨塩量の増加や,脊椎の骨塩量の維持と関連していた.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2004; 351 : 868 - 75. )