病期が T1 または T2 でリンパ節転移のない乳癌を有する 50 歳以上の女性を対象に，乳房放射線照射＋タモキシフェン投与が無病生存率と局所再発に及ぼす影響を検討した．

1992 年 12 月～2000 年 6 月の期間に，早期乳癌（腫瘍径 5 cm 以下）の女性 769 例を，乳房放射線照射＋タモキシフェン投与（386 例）またはタモキシフェン投与のみによる治療（383 例）に無作為に割付けた．追跡期間の中央値は 5.6 年であった．

5 年の時点での局所再発率は，タモキシフェン群で 7.7%，タモキシフェン＋放射線照射群で 0.6%（ハザード比 8.3；95%信頼区間 3.3～21.2；P＜0.001），5 年無病生存率はそれぞれ 84%，91%であった（P＝0.004）．病期が T1 でホルモン受容体陽性の腫瘍を有する女性 611 例を対象に，計画されていたサブグループ解析を行ったところ，放射線療法が有益であることが示された（5 年局所再発率はタモキシフェン群で 5.9%，タモキシフェン＋放射線療法群で 0.4%；P＜0.001）．全体として，5 年の時点での腋窩再発率に有意差がみられたが（タモキシフェン群 2.5%，タモキシフェン＋放射線照射群 0.5%，P＝0.049），遠隔再発率や全生存率には有意差はみられなかった．

放射線療法＋タモキシフェン投与は，タモキシフェン投与単独と比較して，腫瘍が小さく，リンパ節転移陰性，ホルモン受容体陽性の乳癌の女性において，腫瘤摘出後の乳房および腋窩での再発リスクを有意に減少させる．