冠動脈バイパス術とステント留置術の長期転帰の比較
Long-Term Outcomes of Coronary-Artery Bypass Grafting versus Stent Implantation
E.L. Hannan and Others
冠動脈バイパス術(CABG)と経皮的冠動脈形成術(PCI)の転帰を比較した研究はいくつかあるが,そのほとんどは,PCI に大きな変化をもたらした,ステント留置術が行えるようになる前に実施されたものである.
ニューヨーク州の心疾患患者登録を利用して,1997 年 1 月 1 日~2000 年 12 月 31 日の期間に CABG を受けた多枝病変を有する患者 37,212 例と,同期間に PCI を受けた多枝病変を有する患者 22,102 例を同定した.病変血管の数と,左冠動脈前下行枝を含むかどうかに基づいて分類したさまざまなサブグループにおいて,術後 3 年以内の死亡率と血行再建術の施行率を割り出した.有害転帰の発生率は,血行再建術前の患者の疾患重症度の違いを考慮するために,比例ハザード法により補正した.
リスク補正後の生存率は,検討したすべての解剖学的サブグループにおいて,CABG を受けた患者のほうがステント留置術を受けた患者よりも有意に高かった.たとえば,ステント留置術と比較した CABG 後の死亡の長期リスクに対する補正ハザード比は,左冠動脈前下行枝近位部を含む 3 枝病変を有する患者では 0.64(95%信頼区間 0.56~0.74),近位部以外の左冠動脈前下行枝を含む 2 枝病変を有する患者では 0.76(95%信頼区間 0.60~0.96)であった.また,術後 3 年間の血行再建術の施行率は,CABG 群よりもステント留置術群でかなり高かった(術後の CABG の施行率 0.3% 対 7.8%,術後の PCI の施行率 4.6% 対 27.3%).
冠動脈病変を 2 枝以上有する患者では,CABG のほうがステント留置術よりも補正長期生存率が高かった.