The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

年間購読お申込み

日本語アブストラクト

May 26, 2005 Vol. 352 No. 21

Share

Share on Facebook
Facebookで共有する
Share on Twitter
Twitterでつぶやく
Share on Note
noteに投稿する

RSS

RSS

企業との臨床試験契約に関する大学病院の基準
Academic Medical Centers' Standards for Clinical-Trial Agreements with Industry

M.M. Mello, B.R. Clarridge, and D.M. Studdert

背景

米国では,薬物臨床試験の資金の約 70%を企業スポンサーが負担しているが,企業スポンサーと大学の研究者とのあいだの法的な取決めについてはほとんど知られていない.われわれは,治験医師が試験を管理するうえで制限となる,契約条項に関する各施設の基準を調べた.

方 法

企業スポンサーとの臨床試験契約の交渉に責任をもつ医科大学の研究管理者に対し,系統的な横断的調査を郵送で行った.

結 果

調査票を郵送した 122 施設のうち,107 施設から回答を得た.公表に関するいくつかの契約条項の容認性については,多くの管理者で意見が一致していた.たとえば,85%以上の回答者が,原稿を修正する権限や結果の公表の是非を決定する権限をスポンサー企業に与えるという条項を,大学当局は認めないだろうと答えた.スポンサーが,原稿に独自の統計解析を加えること(認める 24%,認めない 47%,認めるべきか不明 29%),原稿を作成すること(認める 50%,認めない 40%,認めるべきか不明 11%),試験終了後に治験医師が第三者にデータを提供することを禁じること(認める 41%,認めない 34%,認めるべきか不明 24%)を可能とする条項の容認性については,意見が大きく異なっていた.契約締結後の争いも多く,その多くが支払い(支払いに関連する争いが前年度に 1 件以上あったと報告した管理者,75%),知的所有権(30%),データの管理またはデータの利用(17%)に関するものであった.

結 論

企業スポンサーとの臨床試験契約における制限条項の基準は,大学病院のあいだでかなり異なっている.大学病院間で適切な基準に関するコンセンサスを形成するには,企業スポンサーとの法的関係に関する情報の共有をさらにすすめていくことが望ましい.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2005; 352 : 2202 - 10. )