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January 27, 2005 Vol. 352 No. 4

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ウェゲナー肉芽腫症に対するエタネルセプト+標準療法
Etanercept plus Standard Therapy for Wegener's Granulomatosis

The Wegener's Granulomatosis Etanercept Trial Research Group

背景

ウェゲナー肉芽腫症患者の大部分は,従来の治療薬を漸減させると,疾患が再燃する.寛解を維持するための安全かつ有効な治療法はない.

方 法

8 施設で無作為プラセボ対照試験を実施し,ウェゲナー肉芽腫症患者 180 例において,寛解維持に対するエタネルセプトの効果を評価した.主要転帰は寛解の持続とし,これはウェゲナー肉芽腫症に関するバーミンガム血管炎活動性スコア(Birmingham Vasculitis Activity Score for Wegener's Granulomatosis)が少なくとも 6 ヵ月間 0 であることと定義した(スコア範囲は 0~67 で,スコアが高いほど疾患の活動性が高いことを示す).患者には,エタネルセプトまたはプラセボに加え,標準療法(グルココルチコイドと,シクロホスファミドまたはメトトレキサートの投与)を行った.寛解後,標準療法の薬剤をプロトコールに従って漸減させた.

結 果

コホート集団全体の平均追跡期間は 27 ヵ月であった.評価することができた患者 174 例のうち,126 例(72.4%)で寛解が維持されたが,試験の残りの期間も寛解が持続したのはわずか 86 例(49.4%)であった.エタネルセプト群と対照群のあいだで,寛解が維持された割合(69.7% 対 75.3%,P=0.39),疾患の活動性が低い期間が持続した割合(86.5% 対 90.6%,P=0.32),これらの基準に達するのに要した時間のいずれについても,有意差はなかった.疾患の再燃は両群ともに多くみられ,エタネルセプト群で 118 件(重症 23 件,限局型 95 件),対照群で 134 件(重症 25 件,限局型 109 件)発生した.追跡調査 100 人・年当りの疾患再燃の相対リスクについて,エタネルセプト群と対照群のあいだに有意差はなかった(0.89,P=0.54).試験期間中,エタネルセプト群の 56.2%と対照群の 57.1%で,重症または生命を脅かすような有害事象が1 件以上,または死亡が発生した(P=0.90).固形癌は,エタネルセプト群の患者 6 例で発生したが,対照群では発生しなかった(P=0.01).

結 論

エタネルセプトは,ウェゲナー肉芽腫症患者の寛解維持に有効ではない.長期にわたる寛解は,ごく少数の患者でしか達成されず,治療に関連する合併症の発生率は高かった.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2005; 352 : 351 - 61. )