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February 3, 2005 Vol. 352 No. 5

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プロアメリカンフットボール選手におけるメチシリン耐性黄色ブドウ球菌株
A Clone of Methicillin-Resistant Staphylococcus aureus among Professional Football Players

S.V. Kazakova and Others

背景

メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)(MRSA)は,医療現場外における感染の新たな原因となっている.プロアメリカンフットボールチームの関係者における MRSA による膿瘍の集団発生を調査し,集団発生株の伝播と微生物学的特徴を検討した.

方 法

セントルイス・ラムズ(St. Louis Rams)の選手と職員 84 人を対象に,後ろ向きコホート研究と鼻腔スワブ検査を実施した.創部,鼻腔,および環境培養から回収した黄色ブドウ球菌を,パルスフィールドゲル電気泳動法(PFGE)と,耐性および毒素遺伝子のタイピングにより解析した.このチームで検出された MRSA を他の市中分離株や院内分離株と比較した.

結 果

2003 年のアメリカンフットボールのシーズン中,ラムズの選手 58 人中 5 人(9%)で 8 件の MRSA 感染が発生した.感染はすべて芝による擦過傷の部位に発生した.MRSA 感染は,ラインマンまたはラインバッカーのポジションや,高い体格指数と有意に関連していた.MRSA は,鼻腔検体および環境検体からは検出されなかった.しかし,メチシリン感受性黄色ブドウ球菌は,渦流浴の浴槽やテーピング接着用ジェル,また選手・職員から採取した鼻腔スワブ 84 検体中 35 検体(42%)から検出された.対戦相手のチームや他の市中クラスターおよび散発例から検出された MRSA の PFGE パターンは,ラムズで検出された MRSA の PFGE パターンと識別不能であった.すべての菌に,Panton-Valentine 型ロイコシジンの遺伝子と,ブドウ球菌カセット染色体 mec IVa 型耐性に対する遺伝子複合体が存在した(USA300-114 株).

結 論

われわれは,プロアメリカンフットボール選手における膿瘍の原因となり,米国のさまざまな地域で分離された株と区別することのできない,高度に保存された市中関連 MRSA 株について記述する.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2005; 352 : 468 - 75. )