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February 17, 2005 Vol. 352 No. 7

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安定冠動脈心疾患における N 末端プロ B 型ナトリウム利尿ペプチドと長期死亡率
N-Terminal Pro-B-Type Natriuretic Peptide and Long-Term Mortality in Stable Coronary Heart Disease

C. Kragelund and Others

背景

プロ脳性(B 型)ナトリウム利尿ペプチド(BNP)の不活性 N 末端断片の濃度は,急性冠症候群患者において死亡の強力な予測因子であり,慢性冠動脈心疾患患者においても強力な予後マーカーである可能性がある.安定冠動脈心疾患患者の大規模コホート集団において,N 末端プロ BNP(NT-pro-BNP)濃度と長期の全死因死亡率との関係を評価した.

方 法

冠動脈心疾患の症状や徴候のため血管造影を受けた患者 1,034 例からベースライン時に採取した血清標本について,NT-pro-BNP を測定した.中央値で 9 年の追跡期間後に,全死因死亡率を決定した.

結 果

追跡期間中に 288 例が死亡した.NT-pro-BNP 濃度の中央値は,生存患者のほうが死亡患者よりも有意に低かった(120 pg/mL [四分位範囲 50~318] 対 386 pg/mL [四分位範囲146~897],P<0.001).NT-pro-BNP 濃度が最高四分位群に属する患者は,NT-pro-BNP 濃度が最低四分位群に属する患者に比べ高齢で,左室駆出率(LVEF)およびクレアチニンクリアランス値が低く,心筋梗塞,臨床的に重大な冠動脈疾患,糖尿病の既往がある可能性が高かった.Cox の多変量回帰モデルにおいて,NT-pro-BNP 濃度が最高四分位群に属する患者の全死因死亡のハザード比は,最低四分位群の患者との比較で 2.4(95%信頼区間 1.5~4.0,P<0.001)であった.NT-pro-BNP 濃度により,患者の年齢;性別;虚血性心疾患に関する家族歴;心筋梗塞,狭心症,高血圧,糖尿病,慢性心不全のいずれかの既往の有無;クレアチニンクリアランス値;体格指数;喫煙状態;血漿脂質濃度;LVEF;血管造影上の臨床的に重大な冠動脈疾患の有無など,従来の危険因子から得られる情報よりも優れた予後情報が追加された.

結 論

NT-pro-BNP は,安定冠動脈疾患患者における長期死亡率の指標であり,従来の心血管危険因子や左室収縮機能障害の重症度から得られる情報以上の予後情報を提供する.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2005; 352 : 666 - 75. )