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February 24, 2005 Vol. 352 No. 8

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急性脳内出血に対する遺伝子組換え活性型第 VII 因子
Recombinant Activated Factor VII for Acute Intracerebral Hemorrhage

S.A. Mayer and Others

背景

脳内出血は脳卒中の中でもっとも治療がむずかしく,死亡率も高い.脳内出血の発症から 3 時間以内にコンピュータ断層撮影(CT)検査を受ける患者の 1/3 では,その後の出血に関連した血腫容積の増大が認められる.遺伝子組換え活性型第 VII 因子(rFVIIa)により,脳内出血後の血腫の増大が抑制されるかどうかを検討した.

方 法

発症から 3 時間以内に CT で脳内出血と診断された患者 399 例を,ベースラインのスキャンから 1 時間以内に,プラセボ(96 例),rFVIIa 40 μg/kg 体重(108 例),80 μg/kg 体重(92 例),160 μg/kg 体重(103 例)のいずれかの投与に無作為に割付けた.主要転帰指標は,24 時間の時点における脳内出血量の変化率とした.臨床転帰は 90 日目に評価した.

結 果

血腫容積の増加は,プラセボ群のほうが rFVIIa 群よりも大きかった.平均増加率は,プラセボ群で 29%であったのに対し,rFVIIa 40 μg 群,80 μg 群,160 μg 群ではそれぞれ 16%,14%,11%であった(3 つの rFVIIa 投与群とプラセボ群との比較で P=0.01).脳内出血量の増加は,プラセボ群と比較して,3 つの治療群でそれぞれ 3.3 mL,4.5 mL,5.8 mL 少なかった(P=0.01).死亡あるいは重度の障害(modified Rankin Scale でスコア 4~6 と定義)が起った患者は,プラセボ群では 69%であったのに対し,rFVIIa 40 μg 群,80 μg 群,160 μg 群ではそれぞれ 55%,49%,54%であった(3 つの rFVIIa 投与群とプラセボ群との比較で P=0.004).90 日の時点での死亡率は,プラセボ群では 29%であったのに対し,rFVIIa 投与群では 3 群全体で 18%であった(P=0.02).重大な血栓塞栓性の有害事象は,主に心筋梗塞または脳梗塞で,rFVIIa 投与群では 7%に生じたのに対し,プラセボ投与群では 2%であった(P=0.12).

結 論

脳内出血発症後 4 時間以内に rFVIIa を投与すると,血栓塞栓性の有害事象の発生率が若干増加するものの,血腫の増大が抑えられ,死亡率が低下し,90 日目の機能的転帰が改善する.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2005; 352 : 777 - 85. )