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March 3, 2005 Vol. 352 No. 9

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胸膜感染に対する胸膜腔内ストレプトキナーゼ投与に関する英国での対照試験
U.K. Controlled Trial of Intrapleural Streptokinase for Pleural Infection

N.A. Maskell and Others

背景

胸膜腔内線維素溶解薬は,貯留した感染性胸水のドレナージのさいに利用されている.この薬剤の使用は,安全性を含む重要な臨床転帰を正確に評価するための統計学的検出力をもたない,小規模な試験に基づいている.ストレプトキナーゼの胸膜腔内投与の効果を明らかにするために,試験を実施した.

方 法

この二重盲検試験では,胸膜感染(化膿性胸水または pH 7.2 以下で感染の徴候のある胸水が存在すること,あるいは胸膜腔内への細菌侵入が確認されたことと定義)患者 454 例を,胸膜腔内にストレプトキナーゼ(250,000 IU を 1 日 2 回,3 日間)またはプラセボのいずれかを投与する群に無作為に割付けた.患者には抗菌薬を投与し,通常の治療の一環として,胸腔チューブドレナージ,外科処置,およびその他の治療を実施した.3 ヵ月の時点で,死亡したか外科的ドレナージを必要とした患者の数を両群で比較した(主要エンドポイント).副次的エンドポイントは,死亡率および手術を行った割合(個別に解析),X 線画像上の転帰,入院期間とした.

結 果

ベースラインの両群の特性はよく一致していた.ストレプトキナーゼまたはプラセボの投与を受けた患者 427 例では,死亡したか手術を必要とした患者の割合に群間で有意差はなく(ストレプトキナーゼ群:患者 206 例中 64 例 [31%],プラセボ群:221 例中 60 例 [27%],相対リスク 1.14 [95%信頼区間 0.85~1.54,P=0.43]),ストレプトキナーゼの臨床上有意な利益を否定する結果であった.死亡率,手術を行った割合,X 線画像上の転帰,入院期間のいずれに関しても,ストレプトキナーゼに利益は認められなかった.重篤な有害事象(胸痛,発熱,アレルギー)はストレプトキナーゼ群でより多くみられた(7%,これに対しプラセボ群では 3%;相対リスク 2.49 [95%信頼区間 0.98~6.36];P=0.08).

結 論

胸膜感染患者において,ストレプトキナーゼの胸膜腔内投与では,死亡率,手術を行った割合,入院期間は改善されない.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2005; 352 : 865 - 74. )