The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

年間購読お申込み

日本語アブストラクト

March 10, 2005 Vol. 352 No. 10

Share

Share on Facebook
Facebookで共有する
Share on Twitter
Twitterでつぶやく
Share on Note
noteに投稿する

RSS

RSS

入院患者の静脈血栓塞栓症を予防するための電子警告
Electronic Alerts to Prevent Venous Thromboembolism among Hospitalized Patients

N. Kucher and Others

背景

入院患者の深部静脈血栓症に対する予防措置は,まだ十分に行われていない.われわれは,予防を促すためにコンピュータによる警告プログラムを用いることで,リスクの高い入院患者の深部静脈血栓症の発生率が減少するかもしれないという仮説を立てた.

方 法

患者のデータベースとリンクさせたコンピュータプログラムを開発し,深部静脈血栓症のリスクがありながら予防措置がとられていない,連続した入院患者を同定した.このプログラムには診療録番号が用いられ,適格患者 1,255 例が介入群に,1,251 例が対照群に無作為に割付けられた.介入群では,患者の深部静脈血栓症のリスクに関して主治医に警告が発せられ,対照群では発せられなかった.医師には警告を確認することを義務付けた.そのため,予防措置を見送ったり,あるいは予防措置として弾性ストッキング,エアブーツ,未分画ヘパリン,低分子量ヘパリン,ワルファリンなどを指示したりすることが可能であった.主要エンドポイントは,90 日の時点での,臨床診断ならびに他覚的に確認される深部静脈血栓症または肺塞栓症とした.

結 果

介入群では,対照群よりも多くの患者に機械的予防措置(10.0% 対 1.5%,P<0.001)や薬理学的予防措置(23.6% 対 13.0%,P<0.001)が行われた.主要エンドポイントは,介入群で 61 例(4.9%)に発生したのに対し,対照群では 103 例(8.2%)であった.90 日の時点で深部静脈血栓症または肺塞栓症が発生していない確率の Kaplan-Meier 推定値は,介入群 94.1%(95%信頼区間 92.5~95.4%),対照群 90.6%(95%信頼区間 88.7~92.2%)であった(P<0.001).コンピュータによる警告で,90 日の時点における深部静脈血栓症および肺塞栓症のリスクは 41%低下した(ハザード比 0.59,95%信頼区間 0.43~0.81,P=0.001).

結 論

コンピュータ警告プログラムを導入することで,医師が予防措置をとる回数が増加し,リスクのある入院患者の深部静脈血栓症および肺塞栓症の発生率が顕著に減少した.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2005; 352 : 969 - 77. )