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March 10, 2005 Vol. 352 No. 10

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膠芽腫における MGMT 遺伝子のサイレンシングとテモゾロマイドの有益性
MGMT Gene Silencing and Benefit from Temozolomide in Glioblastoma

M.E. Hegi and Others

背景

アルキル化剤で治療を受けている膠芽腫患者では,MGMT(O6-メチルグアニン‐DNA メチルトランスフェラーゼ)DNA 修復遺伝子がプロモータのメチル化により後成的にサイレンシングすることで,DNA の修復が妨げられ,生存期間が延長する.

方 法

放射線療法単独と放射線療法+テモゾロマイドによる併用補助療法とを比較する無作為試験に組み入れた患者において,膠芽腫の MGMT 遺伝子サイレンシングと生存期間との関係を調べた.MGMT 遺伝子プロモータのメチル化の状態は,メチル化特異的ポリメラーゼ連鎖反応法により判定した.

結 果

評価可能な 206 例のうち,45%でMGMT 遺伝子プロモータがメチル化されていた.治療に関係なく,MGMT 遺伝子プロモータのメチル化は独立した有用な予後因子であった(log-rank 検定で P<0.001,ハザード比 0.45,95%信頼区間 0.32~0.61).MGMT 遺伝子プロモータがメチル化された腫瘍を有する患者では,テモゾロマイド+放射線療法による治療を受けた患者で生存期間が延長し,生存期間の中央値は 21.7 ヵ月(95%信頼区間 17.4~30.4)であったのに対し,放射線療法単独に割付けられた患者では 15.3 ヵ月(95%信頼区間 13.0~20.9)であった(log-rank 検定で P=0.007).MGMT 遺伝子プロモータがメチル化されていない患者では,治療群間で生存期間の差は小さく,統計学的に有意でなかった.

結 論

メチル化 MGMT 遺伝子プロモータをもつ膠芽腫患者では,テモゾロマイドは有益であったが,メチル化 MGMT 遺伝子プロモータをもたない患者では,そのような利益は得られなかった.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2005; 352 : 997 - 1003. )