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October 20, 2005 Vol. 353 No. 16

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手術可能な HER2 陽性乳癌に対するトラスツズマブと補助化学療法の併用
Trastuzumab plus Adjuvant Chemotherapy for Operable HER2-Positive Breast Cancer

E.H. Romond and Others

背景

HER2 陽性乳癌を外科的に切除した女性において補助化学療法とトラスツズマブ(trastuzumab)の併用,非併用を比較した,2 つの臨床試験を組み合せた結果を報告する.

方 法

米国乳房・腸外科補助療法プロジェクト(The National Surgical Adjuvant Breast and Bowel Project;NSABP)試験 B-31 では,ドキソルビシンとシクロホスファミドの併用投与後に,パクリタキセルを 3 週間ごとに投与する群(グループ 1)と,同一レジメンに加え,パクリタキセルの初回投与時にトラスツズマブの 52 週投与を開始する群(グループ 2)とを比較した.米国北中部癌治療グループ(The North Central Cancer Treatment Group)試験 N9831 は,ドキソルビシンとシクロホスファミドの併用投与後にパクリタキセルを毎週投与する群(グループ A),同一レジメンでパクリタキセル投与後にトラスツズマブを 52 週投与する群(グループ B),同一レジメンに加えパクリタキセル投与と同時にトラスツズマブの 52 週投与を開始する群(グループ C)の 3 つのレジメンを比較した.2 つの研究は,グループ 1 および A(対照群)と,グループ 2 および C(トラスツズマブ群)を比較する合同分析を含むよう修正された.グループ B は,トラスツズマブをパクリタキセルと同時に投与しなかったため,除外した.

結 果

2005 年 3 月 15 日までに 394 件のイベント(再発,第 2 の原発癌,再発前の死亡)が報告されたため,予定していた最初の中間分析を実施した.これらのイベントのうち,133 件はトラスツズマブ群,261 件は対照群で発生した(ハザード比 0.48,P<0.0001).この結果は,早期中止の有意水準を超えていた.トラスツズマブ群と対照群の無病生存率の絶対差は,3 年の時点で 12%であった.トラスツズマブ療法は,死亡リスクの 33%の低下と関連していた(P=0.015).トラスツズマブ群におけるクラス III,IV のうっ血性心不全または心臓が原因の死亡の 3 年累積発生率は,試験 B-31 で 4.1%,試験 N9831 で 2.9%であった.

結 論

トラスツズマブは,ドキソルビシンとシクロホスファミドの併用投与後にパクリタキセルとの併用で投与した場合,HER2 陽性乳癌を外科的に切除した女性の転帰を改善させる.(clinicaltrials.gov 識別番号:NCT00004067,NCT00005970)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2005; 353 : 1673 - 84. )