The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

年間購読お申込み

日本語アブストラクト

November 3, 2005 Vol. 353 No. 18

Share

Share on Facebook
Facebookで共有する
Share on Twitter
Twitterでつぶやく
Share on Note
noteに投稿する

RSS

RSS

細菌性腟症を引き起す細菌の分子生物学的同定
Molecular Identification of Bacteria Associated with Bacterial Vaginosis

D.N. Fredricks, T.L. Fiedler, and J.M. Marrazzo

背景

細菌性腟症は多数の女性が罹患しており,さまざまな重篤な健康問題を伴う.培養に基づく研究が数多く行われているにもかかわらず,細菌性腟症の原因には依然として不明な点が多い.微生物である細菌は,そのリボソーム DNA(rDNA)配列の特徴を明らかにすることによって,培養せずに同定することができる.

方 法

広範囲な細菌に対する 16S rDNA の PCR 増幅とクローン解析,16S rDNA の細菌特異的 PCR 法,および蛍光 in situ ハイブリダイゼーション(FISH)を組み合せて,分泌液検体中の細菌を同定した.これらの検査には,細菌性腟症の患者 27 例と罹患していない被験者 46 例から採取した腟分泌液を直接用いた.21 例に対し 16S rDNA の広範囲 PCR を行い,73 例に対し細菌特異的な PCR を行った.

結 果

16S rDNA の広範囲 PCR で,細菌性腟症に罹患していない女性では,それぞれの腟分泌液検体に 1~6 種(平均 3.3 種)の腟細菌種が検出された.主な細菌は乳酸桿菌属種であった(クローンの 83~100%).細菌性腟症の女性では,罹患していない女性よりも多様な細菌がみられた(P<0.001).1 検体当り 9~17 種(平均 12.6 種)が検出され,1 検体由来のライブラリーに含まれるクローンの 32~89%(平均 58%)が新しく認められた種であった.細菌性腟症の女性からは,35 種の固有の細菌種が検出され,培養では近縁種ではない種もいくつか含まれていた.細菌特異的 PCR 法では,細菌性腟症の患者で,これまでに報告されていない数種類の細菌が非常に多くみられたが,健常対照者ではほとんどみられないことが明らかとなった.PCR で新たに認められた細菌が,腟分泌液中にみられる特異的な細菌の形態型と一致していることが,FISH により確認された.

結 論

細菌性腟症の女性では,細菌性腟症に非常に特異的なクロストリジウム属の 3 種類の細菌を含む,多くの新たに認められた種による複雑な腟感染がみられる.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2005; 353 : 1899 - 911. )