November 17, 2005 Vol. 353 No. 20
発展途上国 5 ヵ国における子宮頸癌検査の費用対効果
Cost-Effectiveness of Cervical-Cancer Screening in Five Developing Countries
S.J. Goldie and Others
子宮頸癌検査のうち,従来の細胞診を利用し,複数回の受診を要する方法は,発展途上国では実行不可能である.
コンピュータモデルを用いて,インド,ケニア,ペルー,南アフリカ,タイにおいて,子宮頸癌のさまざまなスクリーニング法の費用対効果を評価した.癌の年齢別発生率と死亡率,前癌病変のスクリーニングと治療の有効性を評価するため,一次データと文献データを組み合せた.スクリーニング検査,対象年齢と検査頻度,および検査に要した受診回数別に,各方法の直接医療費,時間費用,方法に関連した費用を評価した.受診回数が 1 回の方法は,検査と治療を同日に行うことを前提とした.転帰は,癌の生涯リスク,延命年数,生涯費用,費用対効果比(延命 1 年当りの費用)などとした.
費用対効果がもっとも高かったのは,受診回数がもっとも少ない方法で,追跡検査と治療に改善がみられた.生涯に一度,35 歳時に,酢酸を使った頸部視診または頸部細胞標本のヒトパピローマウイルス(HPV)DNA 検査によるスクリーニング法を 1~2 回の受診で行ったところ,癌の生涯リスクが約 25~36%低下し,延命 1 年当りの費用は 500 ドル未満であった.スクリーニング検査を 2 回(35 歳時と 40 歳時)行うと,癌の相対リスクはさらに 40%低下し,延命 1 年当りの費用は各国の 1 人当りの国内総生産を下回った.これはマクロ経済と保健委員会(Commission on Macroeconomics and Health)によると,「費用対効果が非常に高い結果」であった.
医療資源の乏しい国において,酢酸を使った頸部視診または HPV-DNA 検査を組み入れた 1~2 回の受診による子宮頸癌のスクリーニング法は,従来の,3 回の受診を要する細胞診検査によるスクリーニングプログラムに代る,費用対効果の高い方法である.