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December 8, 2005 Vol. 353 No. 23

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潰瘍性大腸炎の寛解導入療法と維持療法におけるインフリキシマブ
Infliximab for Induction and Maintenance Therapy for Ulcerative Colitis

P. Rutgeerts and Others

背景

腫瘍壊死因子 α に対するキメラモノクローナル抗体,インフリキシマブ(infliximab)は,クローン病の治療薬として確立されているが,潰瘍性大腸炎の治療薬としては確立されていない.

方 法

2 つの無作為二重盲検プラセボ対照試験,活動性潰瘍性大腸炎試験(Active Ulcerative Colitis Trials)1 および 2(ACT 1,ACT 2)で,潰瘍性大腸炎の成人に対する寛解導入療法と維持療法におけるインフリキシマブの有効性を評価した.それぞれの試験で,現行の薬物療法にかかわらず中等度~重度の活動性潰瘍性大腸炎を有する患者 364 例に,プラセボまたはインフリキシマブ(体重 1 kg 当り 5 mg または 10 mg)を,0,2,6 週目に静脈内投与した.さらに,ACT 1 ではその後 46 週目まで,ACT 2 では 22 週目まで 8 週ごとに投与した.患者の追跡調査は,ACT 1 では 54 週間,ACT 2 では 30 週間行った.

結 果

ACT 1 では,8 週の時点で臨床反応を示したのは,インフリキシマブ 5 mg の投与を受けた患者の 69%とインフリキシマブ 10 mg の投与を受けた患者の 61%で,プラセボ投与を受けた患者では 37%であった(インフリキシマブの両群とプラセボ群の比較について P<0.001).反応の定義は,Mayo スコアの 3 点以上の低下,30%以上の低下とし,これに伴い直腸出血のサブスコアが 1 点以上低下,あるいは直腸出血のサブスコアの絶対値が 0 または 1 である場合とした.ACT 2 では,8 週の時点で臨床反応を示したのは,インフリキシマブ 5 mg の投与を受けた患者の 64%とインフリキシマブ 10 mg の投与を受けた患者の 69%で,プラセボ投与を受けた患者では 29%であった(インフリキシマブの両群とプラセボ群の比較について P<0.001).両試験において,インフリキシマブの投与を受けた患者は,30 週の時点で臨床反応を示す傾向が高かった(すべての比較について P≦0.002).ACT 1 では,54 週の時点で臨床反応を示したのは,5 mg または 10 mg のインフリキシマブの投与を受けた患者(それぞれ 45%,44%)で,プラセボ投与を受けた患者(20%)よりも多かった(両群との比較について P<0.001).

結 論

中等度~重度の活動性潰瘍性大腸炎患者で,0,2,6 週目およびその後 8 週ごとにインフリキシマブの投与を受けた患者は,プラセボ投与を受けた患者よりも,8,30,54 週の時点で臨床反応を示す傾向が高かった.(ClinicalTrials.gov 識別番号:NCT00036439,NCT00096655)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2005; 353 : 2462 - 76. )