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August 18, 2005 Vol. 353 No. 7

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糖尿病患者の再狭窄予防のためのパクリタキセル溶出ステントとシロリムス溶出ステントの比較
Paclitaxel-Eluting or Sirolimus-Eluting Stents to Prevent Restenosis in Diabetic Patients

A. Dibra and Others

背景

薬剤溶出ステントは,ステント内再狭窄の発症率を低下させるうえできわめて有効である.糖尿病患者の高リスクサブグループにおいて,現在承認されている薬剤溶出ステントの有効性に差があるかどうかは明らかにされていない.

方 法

糖尿病と冠動脈疾患を有する患者 250 例を登録した.うち 125 例をパクリタキセル(paclitaxel)溶出ステント留置術に,125 例をシロリムス(sirolimus)溶出ステント留置術に無作為に割付けた.主要エンドポイントは,長期間後のステント留置部位(in-segment)の血管内腔狭小化とした.副次的エンドポイントは,血管造影上の再狭窄(血管造影による追跡検査でステント留置部位の狭窄が 50%以上と定義),および 9 ヵ月の追跡期間における標的病変の血行再建術の必要性とした.試験は,シロリムス溶出ステントに対するパクリタキセル溶出ステントの非劣性を示す目的で計画された.非劣性は,長期間後にステント留置部位で血管内腔が狭小化した程度の差が,0.16 mm 以下であることと定義した.

結 果

長期間後のステント留置部位の血管内腔狭小化の程度は,パクリタキセル溶出ステント群のほうがシロリムス溶出ステント群よりも 0.24 mm 強かった(95%信頼区間 0.09~0.39,P=0.002).血管造影による追跡検査でステント留置部位に再狭窄が確認された患者の割合は,パクリタキセル溶出ステント群で 16.5%,シロリムス溶出ステント群で 6.9%であった(P=0.03).標的病変で血行再建術が行われた患者の割合は,パクリタキセル溶出ステント群で 12.0%,シロリムス溶出ステント群で 6.4%であった(P=0.13).

結 論

糖尿病と冠動脈疾患を有する患者において,シロリムス溶出ステントを使用した場合,パクリタキセル溶出ステントを使用した場合と比較して,長期間後の血管内腔狭小化の程度が小さい.このことから,再狭窄リスクも減少することが示唆される.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2005; 353 : 663 - 70. )