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March 9, 2006 Vol. 354 No. 10

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多発性骨髄腫に対するサリドマイドと造血細胞移植
Thalidomide and Hematopoietic-Cell Transplantation for Multiple Myeloma

B. Barlogie and Others

背景

メルファランを用いた高用量化学療法により,多発性骨髄腫患者の生存期間を延長することが可能である.われわれは,進行性の難治性骨髄腫に効果があるサリドマイドを加えることで,さらに生存率が改善するかどうかを評価した.

方 法

1998 年 10 月~2004 年 2 月のあいだに,新たに多発性骨髄腫と診断された患者 668 例に対し,メルファランを含む大量化学療法を 2 サイクル施行した.各回とも支持療法として自家造血幹細胞移植を行った.計 323 例を,試験開始から疾患進行または重大な有害作用がみられるまでサリドマイドを投与する群に割付け,345 例をサリドマイドを投与しない群に割付けた.主要エンドポイントは 5 年無イベント生存率とした.副次的エンドポイントは完全寛解および全生存率とした.

結 果

生存者に対する中央値 42 ヵ月間の追跡調査後,サリドマイド群と対照群の完全寛解率はそれぞれ 62%と 43%(P<0.001),5 年無イベント生存率は 56%と 44%(P=0.01)であった.5 年全生存率は両群ともおよそ 65%であった(P=0.90).再発後の生存期間の中央値は,サリドマイド群で 1.1 年,対照群で 2.7 年であった(P=0.001).重度の末梢神経障害と深部静脈血栓症は,対照群よりもサリドマイド群で高頻度に発生した.

結 論

サリドマイドは,骨髄腫に対する高用量化学療法と組み合せた場合,完全寛解率を上昇させ,無イベント生存期間を延長させたが,全生存率は改善せず,有害作用が増加した.(ClinicalTrials.gov 番号:NCT00083551)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2006; 354 : 1021 - 30. )