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March 16, 2006 Vol. 354 No. 11

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質の低い医療を受けるリスクがもっとも高いのはだれか?
Who Is at Greatest Risk for Receiving Poor-Quality Health Care?

S.M. Asch and Others

背景

米国の成人は,推奨される医療を受けていないことが多い.医療の質が,社会人口学的グループ間でどの程度異なるのかは不明である.

方 法

12 地域の住民から無作為標本を抽出し,その医療記録と電話調査によるデータを用いて,過去 2 年間に医療機関を 1 回以上訪れた人が受けた医療の質を評価した.30 の慢性・急性疾患と疾病予防における医療の質に関して,439 の指標から総計スコアを作成した.異なる社会人口学的サブグループの構成員が,推奨される医療を受けた割合を推定した.そのさい,慢性・急性疾患の数,医療サービスの利用,他の社会人口学的特性について調整した.

結 果

全体で,被験者は推奨される医療の 54.9%を受けていた.調整後でさえも,医療の質のスコアには,社会人口学的サブグループ間で中等度の差がみられたのみであった.総合スコアは,女性のほうが男性よりも高く(56.6% 対 52.3%,P<0.001),31 歳未満の被験者では 64 歳を超える被験者よりも高かった(57.5 % 対 52.1%,P<0.001).黒人(57.6%)やヒスパニック系(57.5%)では,白人(54.1%)よりもわずかにスコアが高かった(両方の比較について P<0.001).年間世帯収入が 50,000 ドルを超える被験者では,15,000 ドル未満の被験者よりもスコアが高かった(56.6% 対 53.1%,P<0.001).

結 論

観察された医療の質における社会人口学的サブグループ間の差は,各サブグループ内での実際の医療の質と望ましい医療の質との隔たりと比較すれば,小さなものである.社会人口学的サブグループ間の格差を縮めることだけに焦点を当てた質改善プログラムでは,医療を向上させる大きな機会を逸する可能性がある.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2006; 354 : 1147 - 56. )