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March 23, 2006 Vol. 354 No. 12

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うつ病に対する SSRI 不成功後のブプロピオン SR,セルトラリン,ベンラファキシン XR
Bupropion-SR, Sertraline, or Venlafaxine-XR after Failure of SSRIs for Depression

A.J. Rush and Others

背景

選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)によるうつ病治療が不成功に終った場合,ある抗うつ薬への転薬が別の抗うつ薬への転薬よりも効果が高いかどうかは不明である.

方 法

非精神病性大うつ病性障害の成人外来患者で, SSRI のシタロプラム(citalopram)で症状が寛解しないか,シタロプラムに忍容性がない患者 727 例を,徐放性ブプロピオン(bupropion)最大用量 400 mg/日(239 例),セルトラリン(sertraline)最大用量 200 mg/日(238 例),徐放性ベンラファキシン(venlafaxine)最大用量 375 mg/日(250 例)のいずれかを最長 14 週間投与する群に無作為に割付けた.この研究は,18 のプライマリケア施設と 23 の精神科医療施設で行った.主要転帰は症状の寛解とし,試験終了時に 17 項目のハミルトンうつ病評価尺度(17-item Hamilton Rating Scale for Depression;HRSD-17)の総スコアが 7 以下であることと定義した.受診時に得られたうつ症状簡易自己評価項目(Quick Inventory of Depressive Symp-tomatology ― Self Report;QIDS-SR-16)のスコアによって,寛解(終了時のスコアが 5 以下),奏効(ベースライン時のスコアから 50%以上低下)などの副次的転帰を判定した.

結 果

HRSD-17 と QIDS-SR-16 で評価した寛解率はそれぞれ,徐放性ブプロピオンで 21.3%と 25.5%,セルトラリンで 17.6%と 26.6%,徐放性ベンラファキシンで 24.8%と 25.0%であった.QIDS-SR-16 による奏効率は,徐放性ブプロピオンで 26.1%,セルトラリンで 26.7%,徐放性ベンラファキシンで 28.2%であった.これらの治療には,転帰,忍容性,有害事象に関して有意差はみられなかった.

結 論

SSRI による治療が不成功に終った場合,患者の約 4 人に 1 人は別の抗うつ薬に変えることで症状が寛解した.この研究で用いた薬剤はいずれも,うつ病患者に対する妥当な第二選択薬であった.(ClinicalTrials.gov 番号:NCT00021528)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2006; 354 : 1231 - 42. )