薬剤耐性 Streptococcus pneumoniae に対する肺炎球菌結合型ワクチン導入の効果
Effect of Introduction of the Pneumococcal Conjugate Vaccine on Drug-Resistant Streptococcus pneumoniae
M.H. Kyaw and Others
米国では,2000 年に小児用として 7 つの血清型の肺炎球菌結合型ワクチンが導入されたが,うち 5 つの血清型が,大部分のペニシリン耐性肺炎球菌感染の原因となっている.このワクチンの,耐性菌株が原因の侵襲性疾患に対する効果を検討した.
Active Bacterial Core surveillance から得られた検査に基づくデータを使用し,1996~2004 年に発生した,抗菌薬に感受性のない肺炎球菌による疾患の評価を行った.侵襲性疾患を,疾患の原因となる肺炎球菌が通常は無菌の部位から分離されることと定義し,8 つの調査地域で症例を特定した.分離菌株の血清型および感受性を検査した.
ペニシリンに感受性のない菌株と複数の抗菌薬に感受性を示さない菌株とによる侵襲性疾患の比率は,1999 年にピークに達したあと 2004 年まで減少し,それぞれ,100,000 人当り 6.3 例から 2.7 例(57%減少,95%信頼区間 55~58%),100,000 人当り 4.1 例から 1.7 例(59%減少,95%信頼区間 58~60%)に減少した.2 歳未満の小児では,ペニシリンに感受性のない菌株による疾患は,100,000 人当り 70.3 例から 13.1 例に減少した(81%減少,95%信頼区間 80~82%).65 歳以上の人では,ペニシリンに感受性のない菌株による疾患は,100,000 人当り 16.4 例から 8.4 例に減少した(49%減少).ワクチンに含まれる血清型による耐性疾患の比率は,87%減少した.ワクチンに含まれない血清型 19A による疾患の増加が認められた(2 歳未満の小児で 100,000 人当り 2.0 例から 8.3 例に増加).
肺炎球菌結合型ワクチン導入後,幼児と高齢者において抗菌薬耐性の侵襲性肺炎球菌感染の比率が減少した.一方,ワクチンに含まれない血清型による感染の増加が認められた.