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May 11, 2006 Vol. 354 No. 19

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一過性の喘鳴を呈する乳児における間欠的吸入副腎皮質ステロイド
Intermittent Inhaled Corticosteroids in Infants with Episodic Wheezing

H. Bisgaard and Others

背景

われわれは,喘息の発症には生後 1 年間の頻回の喘鳴エピソードが先行するという仮説と,この初期段階の症候性エピソード中に吸入副腎皮質ステロイド療法を行うことで,持続性の喘鳴への進行を遅らせることができるという仮説を立てた.

方 法

3 年間にわたる単一施設無作為化二重盲検前向き試験において,生後 1 ヵ月の乳児を,吸入ブデソニド(1 日 400 μg)またはプラセボを 2 週間投与する群に割付け,喘鳴のエピソードが 3 日間みられたあとに投与を開始した.主要転帰は症状がみられなかった日数とし,主な副次的転帰は,持続性の喘鳴による投与中止までの期間と,試験終了時の身長ならびに骨密度で評価した安全性とした.

結 果

乳児 411 例を登録し,初回喘鳴エピソード時に 294 例をブデソニド群に無作為に割付けた.症状がみられなかった日数の割合は,ブデソニド群で 83%,プラセボ群で 82%であった(絶対差 1%,95%信頼区間 -4.8~6.9%).喘鳴が持続した小児の割合は,ブデソニド群で 24%,プラセボ群で 21%であり(ハザード比 1.22,95%信頼区間 0.71~2.13),この所見はアトピー性皮膚炎の有無による影響を受けていなかった.急性エピソードの平均期間は両群で 10 日間で,呼吸器のウイルス感染とは無関係であった.身長と骨密度は投与の影響を受けていなかった.

結 論

間欠的な吸入副腎皮質ステロイド療法は,一過性の喘鳴が持続性の喘鳴へ進行するのを防ぐ効果はなく,生後 3 年間においては,喘鳴エピソード中の短期的な効果も得られなかった.(ClinicalTrials.gov 番号:NCT00234390)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2006; 354 : 1998 - 2005. )