The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

年間購読お申込み

日本語アブストラクト

June 8, 2006 Vol. 354 No. 23

Share

Share on Facebook
Facebookで共有する
Share on Twitter
Twitterでつぶやく
Share on Note
noteに投稿する

RSS

RSS

妊娠第 1 期の ACE 阻害薬使用後の重大な先天奇形
Major Congenital Malformations after First-Trimester Exposure to ACE Inhibitors

W.O. Cooper and Others

背景

妊娠第 2 期と第 3 期におけるアンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬の使用は,胎児病リスクの増加と関連するため禁忌とされている.しかし,妊娠第 1 期の ACE 阻害薬の使用は,胎児の有害な転帰と関連付けられていない.われわれは,妊娠第 1 期にのみ ACE 阻害薬を使用した場合と先天奇形リスクとの関連を評価するために研究を実施した.

方 法

テネシー州のメディケイドに加入しており,1985~2000 年に糖尿病の所見のない母親から生まれた乳児,29,507 例のコホートについて検討した.妊娠第 1 期にのみ ACE 阻害薬に曝露した乳児 209 例,妊娠第 1 期にのみその他の降圧薬に曝露した乳児 202 例,全妊娠期間を通して降圧薬に曝露しなかった乳児 29,096 例を特定した.重大な先天奇形は,生後 1 年間の人口動態記録と入院記録を関連付けて特定し,診療録の調査により確認した.

結 果

妊娠第 1 期にのみ ACE 阻害薬に曝露した乳児では,降圧薬に曝露していない乳児に比べて重大な先天奇形のリスクが増加した(リスク比 2.71,95%信頼区間 1.72~4.27).これに対し,妊娠第 1 期にのみその他の降圧薬へ曝露することは,リスクの増加と関連していなかった(リスク比 0.66,95%信頼区間,0.25~1.75).ACE 阻害薬に曝露した乳児では,心血管系(リスク比 3.72,95%信頼区間 1.89~7.30)および中枢神経系(リスク比 4.39,95%信頼区間 1.37~14.02)の奇形のリスクが増加した.

結 論

妊娠第 1 期の ACE 阻害薬の使用は,安全と見なすことはできないため避けるべきである.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2006; 354 : 2443 - 51. )