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January 19, 2006 Vol. 354 No. 3

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リンチ症候群における婦人科癌のリスク低減を目的とした予防的手術
Prophylactic Surgery to Reduce the Risk of Gynecologic Cancers in the Lynch Syndrome

K.M. Schmeler and Others

背景

リンチ症候群(遺伝性非ポリポーシス大腸癌)の女性は,子宮体癌の生涯リスクが 40~60%,卵巣癌の生涯リスクが 10~12%である.リンチ症候群の女性に対する予防的な婦人科手術の有益性は明らかではない.われわれは,リンチ症候群の女性における予防的な子宮摘出術と両側卵管卵巣摘出術に関連して,婦人科癌のリスクが低減するかどうかを検討するためにこの試験をデザインした.

方 法

リンチ症候群と関連する生殖細胞系変異が確認されている女性,315 例を同定した.予防的子宮摘出術を受けた女性(61 例)と予防的両側卵管卵巣摘出術を受けた女性(47 例)を,当該手技を受けなかった変異陽性の女性とマッチさせた(子宮体癌の解析について 210 例,卵巣癌の解析について 223 例).予防的手術を受けた女性およびマッチさせた対照女性を,手術日から癌が発症するまで,あるいは最後の追跡検査のための来院時にデータが打ち切られるまで追跡調査した.

結 果

予防的手術を受けた女性では,子宮体癌,卵巣癌,原発性腹膜癌はいずれも発生しなかった.対照群では 69 例(33%)で子宮体癌が診断され,罹患密度は 0.045/女性/年,予防率(予防された潜在的新規癌の割合)は 100%であった(95%信頼区間 90~100%).また,対照群では卵巣癌が 12 例(5%)で診断され,罹患密度は 0.005/女性/年,予防率は 100%であった(95%信頼区間 -62~100%).

結 論

これらの知見は,子宮と両側卵管卵巣の予防的摘出が,リンチ症候群女性の子宮体癌と卵巣癌の予防に有効な戦略であることを示唆している.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2006; 354 : 261 - 9. )